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トランプ大統領が「破産した不動産王」から学んだ教訓とは?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第222回 ビジネス ドナルド・トランプは大統領になる以前は、マンションやゴルフ場を開発する不動産王として知られていました。その半生を綴った自伝はアメリカで300万部のベストセラーになっています。  彼はビジネスにおいて、「勢い」を大切にしています。彼の言う「勢い」とは、ただ前進するだけでなく、前進し続けることを意味しています。  また、「勢い」の対極にあるものとして、「惰性」を取り上げています。そして、その惰性の象徴として、いつも最初に大きく前進するばかりに安心してしまい、油断して他に追い抜かれてしまう知人を引き合いに出して、前進し続けることの大切さを説いています。  トランプはなぜ「勢い」を大切にするようになったのか。人は誰かに心を揺さぶられることで、決断や行動ができるようになります。トランプが影響を受けたのは、1950年代に不動産王と呼ばれたウィリアム・レヴィットです。  レヴィットは1967年に自分の不動産会社を9000万ドルで売却しました。現在の数十億ドルに相当するお金を手に入れた彼は引退し、南フランスに移住しました。  しかし、不動産ビジネスのイロハを知らなかった売却先が会社を持て余した結果、レヴィットがその会社を買い戻すことになりました。こうしてレヴィットは現役復帰したものの、経営は以前のようにはうまくいかず、その後破産しました。  トランプは1994年に出席したパーティで、このレヴィットと出会いました。大御所から学ぼうと考えた彼は「調子はいかがですか?」と声をかけました。するとレヴィットは次のように答えました。 「良くないね、ドナルド。まったく良くない。勢いをなくしてしまったよ。この世界から20年も離れていたんだ。戻ったはいいが、前のようにはいかなかった」  トランプはレヴィットについて、「どれほどのベテランになっても、どれほど仕事を熟知していると思っても、業界の動きには常に目を光らせていなければならない」と分析しています。だからこそ彼はただ前進するだけでなく前進し続けること、つまり「勢い」が大切だと考えるようになったのです。  そのパーティの2週間後、レヴィットは失意のうちに亡くなりました。彼とのやりとりについて、トランプは「彼の言葉は長く私の耳に残り、大切な教訓を与えてくれた」と振り返っています。  この時のトランプの心情は「他山の石」です。自分と同じように不動産王と呼ばれた男の末路を見て、自分の戒めにしたのは極めて自然な心情です。このように共通点を持つ誰かの失敗が心に響くと、それまでと異なる決断や行動ができるようになります。
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人物の影響によって初めてわかること
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