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米大統領選で見える二つの筋道、巨大化しようとする中国…これらに我が国は何をしたのか?/倉山満

米大統領選で見える二つの筋道、巨大化しようとする中国、これらに我が国は何をしたのか?

 今のトランプ陣営の作戦は「辛勝か惨敗」だ。今のトランプにとって、惜敗には何の意味もない。記録的な惨敗をするかもしれないが、1%でも勝ち目がある戦いを挑むのは当然ではないか。  以上は、アメリカ情勢に詳しい渡瀬裕哉先生(救国シンクタンク研究員)のご教示に大いによる。  そして大統領選挙が終わった後も、2年後には議会の中間選挙がやってくる。今回の大統領選挙でトランプが負けても、共和党は次の巻き返しを狙ってくるのだ。共和党が壊滅することはない。  こうした情勢を、中国は当然ながら凝視している。もちろん台湾もだ。  中国と台湾は「我こそは中国の正統政府」との建前を掲げ、世界中で国家承認競争を行っている。だから、外交戦を戦うために、世界中すべての国の情勢分析が必要なのだ。  中国はコロナ騒動で世界中に迷惑をかける前から、香港で大騒ぎを繰り広げていた。著名活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏を投獄するなど、政治弾圧は強まっている。  これに対し日本では「香港に自由は無くなった」「周庭さんを救え」と絶叫する声が多い。正論だ。では、どうやって?  保守を自任する人たちは、アメリカやイギリスが中国と対決姿勢であることを喜ぶ向きも多い。観客として。ならば、米英が艦隊を派遣してきたとき、日本は軍事的に参加するのか。一緒に武器を持って戦うのか。まさか、自分だけ戦場から逃げはしまい。同盟とは、自分も死ぬ覚悟で仲間とともに戦い、敵を殺すことだ。米英はその体制にあるし、中露も当然のことと考えている。7年を超える安倍内閣でそのような体制に、一歩でも進んだのか。
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本当に中国を潰そうとするなら…
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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