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「note」が生んだ作家・岸田奈美がファンに愛される理由

 ノンフィクションルポ『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(著/高橋ユキ、晶文社)や、コミックエッセイ『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』(著/松本千秋、幻冬舎)を筆頭に、近年「note」というプラットフォームから書籍化や文筆家デビューする例が増えている。  従来のブログやTwitterからデビューするのとは何が違うのか。自身を「’05年にブームになった『電車男』の流れと似ている」と分析するnote発の作家・岸田奈美氏に話を聞いた。
岸田奈美さん

著者の岸田奈美さん。「100文字で済むことを2000文字で伝える作家」がキャッチフレーズ

「note」が生んだ作家・岸田奈美がファンに愛される理由

 心身の不調で休職中に、家族との出来事を綴った自伝的エッセイをnoteに投稿し、バズったのが1年前。初の著書となる『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』を9月23日に刊行したばかりだ。 「心筋梗塞で突然亡くなった父とはケンカ別れだし、母は車椅子ユーザーで、ダウン症の弟は知的障害者。この家族構成って、日本のダイバーシティが全部集まったみたいじゃないですか(笑)。そんな家族の日常をひたすら綴っていました。noteには読者が著者を金銭的に支援できる“サポート機能”があって、初めて投稿したエッセイで150人以上からサポートをいただいたんです。そのおよそ半年後に有料の月額マガジンを開設したら、1か月くらいで安定した収入を得られるようになり、会社を辞めて作家になりました」
岸田奈美さん

一生に一度しか起こらないような出来事がなぜだか何度も起きてしまう、と自身の境遇を語る岸田奈美さん

 noteはTwitterと親和性が高く、シェアしやすいのも特徴。 「普段文章を読まない層にまで私のnoteが届いたのは、Twitterがあってこそ。過去の2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)が持っていたリアルタイム性と、ボケにボケを重ねる大喜利ノリがすごく好きなんですが、Twitterはそのノリが引き継がれていますよね。参加している人の本質は2ちゃん全盛期から変わっていないけど、今はnoteを介して“サポート”という形で直接読者と繋がれるようになったのは大きな変化ですね」

“人”にファンがついていく

 コンテンツそのものではなく、“人”にファンがついて支援を受けやすいnote。著書を出す前から、彼女が「作家」を名乗る理由もそこにある。 「私が作家を名乗るのは、私がファンの方にとって“推し”の要素があるから。対価交換だと思うと見合わないものも、応援だと思えばお金の価値が変わってきますよね。きっと、noteから有料マガジンの購入や“サポート”をしてくださる方にとって、これは“消費”じゃなくて“投資”なんです。だから、いただいたお金は弟や母と一緒に面白いことを体験するのに使い、またそれを記事にしてみなさんに楽しんでもらう、という良い循環をつくるように心がけています」
著書を持つ岸田さん

本の装丁は祖父江慎+根本匠(コズフィッシュ)が手がけた

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物語を作る力はみんなが持っている
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