ひとつあるだけで部屋の雰囲気を締める名作インテリア
その場しのぎの手頃な価格でアイテムを間に合わせるのではなく、“名作”と呼ばれるインテリアアイテムを飾ると、注目度とセンスは格段にアップする。それだけではなく、実は心的満足度やコスパもよい。
例えば、窪川氏がデスク脇で愛用しているのはvitra.のウォールポケット「Uten.Silo II」。壁に取り付けて使える壁面収納の小物入れで、金属のフックや、ユニークな形や大きさのポケットが付いているため、収納をおしゃれに見せる効果も期待できる。
「たとえ収納具がすべて100円均一で購入したアイテムだとしても、名作の持つ圧倒的な存在感に、部屋の雰囲気が締まります。私のものは長年使っているので少し黄ばんで見えますが、経年変色すら味になっていますよね」
vitra.「Uten.Silo II」実勢価格:3万6300円
窪川氏のこだわりはそれだけではない。実は彼の部屋のワークデスクは、ミニビリヤード台を転用したオリジナルのものだ。彼はこれを27年前、大学生として上京してきたときに作ったというから、そのセンスの早熟さには恐れ入る。
「母親から渡されたデスク代で、ただ机を買うのはつまらないと思い、東急ハンズでミニビリヤード台を購入したんです(笑)。それに合うようにガラスの天板をオーダーメイドでカットしてもらい装着しました。中にはキューを飾っています。高さ70㎝程度と、もちろん作業机としての実用性も抜群。悪い姿勢での仕事は非効率で不健康ですからね」
ミニビリヤード台にガラス天板をはめたオリジナルのワークデスク
オリジナルデスクの難点は、いわゆる事務用のオフィス机ではないので、引き出しなどの収納スペースがないこと。そこで、先に紹介した壁面収納に加え、高い収納力を誇る天才デザイナー、ジョエ・コロンボの名作「ボビーワゴン(2段2トレイモデル)」を長年愛用している。
「デスクやダイニングテーブルの下にも収まり、機動力も申し分ないし、飲み物や資料を置くサイドテーブルとしてもちょうどいい。私は、椅子に座ったまま手の届く範囲で完結できるようレイアウトを組んでいます。自宅にワークデスクのないサラリーマンが、ダイニングテーブルでテレワークするにも最適ですし、知っている人が見れば『自宅にボビーワゴンが!?』と一目置かれること間違いなし。それに、名作と呼ばれるインテリアは多少高価でも値崩れしにくいのが特徴。自分のもとで役目を終えたら、ほぼそのままの値段で転売し、必要な人に譲ることができるのもいいところです」
B-LINE「ボビーワゴン(2段2トレイモデル)」実勢価格:4万6200円
機能性と審美性を備え、かつ好きなものに囲まれた部屋は、窪川氏が20年近くかけて作り上げたいわば完成形と言える。超ハイセンスな部屋ではあるが、どこか一箇所でも盗み、真似られれば、そのセンスの高さにリモート会議の相手の目が点になるのは間違いない。
何の変哲もないパイロットの「フリクション ボール2 ビズ」を耐水ペーパーで磨きエイジング感を演出するなど、ありふれたアイテムも一手間かけてこだわりの逸品に仕上げる窪川氏
●BALMUDA「The Lantern」実勢価格:1万5200円
●Amabro「PEG WALL / Walnut(S)」実勢価格:5500円
●vitra.「Uten.Silo II」実勢価格:3万6300円
●ミニビリヤード台にガラス天板をはめたオリジナルのワークデスク
●B-LINE「ボビーワゴン(2段2トレイモデル)」実勢価格:4万6200円
●パイロットの「フリクション ボール2 ビズ」(耐水ペーパーで磨きエイジング感を演出するなど、ありふれたアイテムも一手間かけてこだわりの逸品に)
【インテリア&プロップスタイリスト 窪川勝哉氏】
東洋大学ライフデザイン学部非常勤講師。インテリアのみならず車や家電、ステーショナリーなど、プロダクト全般に造詣が深い。テレビ番組のインテリアコーナーや、雑誌のインテリアページのスタイリングだけでなく、ウインドウディスプレイやマンションのモデルルーム、イベントのデコレーションなど、幅広く活躍している
’11年に渡英し、1年半の英国滞在を終え、’13年より再び拠点をロンドンから東京に移している
<取材・文/谷口伸仁、写真提供/窪川勝哉>