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「鬼滅の刃」に便乗する政治家が寒い…菅首相、辻元清美、有働由美子までも

文/椎名基樹

「鬼滅の刃」ブームに易々と乗っかって

「鬼滅の刃」公式ポータルサイト

「鬼滅の刃」公式ポータルサイトより

 菅首相が11月2日の衆院予算委で「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と、「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、必殺技を繰り出す際に使うセリフを引用した。それに対し立憲民主党の辻元清美はTwitterで「明日4日の私の質問、官僚の答弁ばっかり読まずに、全集中の呼吸で答えてくださいね」とけん制。  このやりとりがあった上で、国会の質問本番では、辻元清美による「日本学術会議の任命拒否問題、新型コロナ禍の雇用状況」などの問いに対し、菅首相は、紙に書かれた答弁書を繰り返すだけで、議論はかみ合わなかった。  すると辻元清美は「鬼滅の刃」の黒幕、鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)の「全ての決定権は私にあり、私の言うことは絶対である」というセリフを持ち出し「こうならないようにくれぐれもご注意いただきたい」と皮肉を込めて話し、質問を終えた。  寒い。寒すぎる。

「こう言うとウケますよ」と入れ知恵されたのか

 菅首相が「鬼滅の刃」を読んでいるとは思えない。多分首相のブレインが「こう言ったらウケますよ」などとそそのかして言わせたのだろう。表情から感情が全く伺えない、マダムタッソーの蝋人形のような菅首相が、突然サブカルを語りだしたら怖いだけだよ。  捨て台詞として漫画のセリフを用意して答弁を終えている不自然さからして、辻元清美も「鬼滅の刃」を読んでいないだろう。彼女のスタッフたちが答弁で使えそうなセリフを徹夜で懸命に探し、件のセリフを見つけて「いいセリフがあった、これで辻元先生にも喜んでもらえる。やったー!」などと言いながらハイタッチしたに違いない。そして翌朝「辻元先生、いいセリフがありました。ジャジャン!」などと言いながら、そのセリフがあるページを見せると、辻元清美が「めっちゃおもろいやん! これでうちも秋葉原で大人気やで」などと言いながら、ハイタッチしたのではないだろうか。  菅首相と辻元清美が、「鬼滅の刃」を読んでいるかどうか別として、ヒット漫画の名前を出せば、世間の親しみを得られると考えるその浅はかさは、致命的にズレている。菅首相はもう懲りているだろう。辻元清美は「自分がウィットに富んでいる」と勘違いしていたら気の毒なので、もう一度言っておこう。寒みーよ。

「鬼滅の刃」熱を語る有働由美子

 有働由美子は、キャスターを務める「news zero」(日本テレビ系)で、ファンを公言する阪神タイガースの藤川球児の引退に触れ、藤本球児を「鬼滅の刃」のキャラクターで例えれば、竈門炭治郎だとコメントした。「鬼滅の刃」を読んでもなければ見てもいない私からすれば、なんのことやら全くわからない。彼女が熱っぽく語れば語るほど白けるばかりだ。 有働由美子は、むやみやたらに阪神タイガース愛や「鬼滅の刃」熱を語る。それは非常に作為的に見える。しかし自分のイメージ戦略通りには、世の人たちの目には、写っていないことを知るべきだ。
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宮崎駿監督は「観てない」とキッパリ
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

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