仕事

テレワーク支援が手厚い会社 vs 全部自腹会社の差がスゴすぎる

会社からは何も支給されずリモートソフトも無料版

テレワーク地獄

三沢さんのデスク。左のモニターは本来、テレビ用のものを転用している。自己負担でのテレワーク環境整備の苦心ぶりがうかがえる

 一方で、「現在、週3回ほどのテレワークをしていますが、会社から社員への支援は一切ありません」と話すのは、自宅の3台のモニターに囲まれて作業をこなす三沢和真さん(仮名・30代)だ。関西のウェブ制作会社で働く彼のデスクは一見、なんら不自由ない作業環境に思えるが……。 「パソコンもモニターも当然、自前です。もともと趣味用で使っていた自作PCなのでウェブカメラもマイクもない。オンライン会議には音声だけで参加しています」  社用携帯も支給されないため、急な修正依頼などクライアントからの連絡にも対応できずにいる。 「個人携帯の番号を教えるのも禁止されているので、金曜に電話がかかってきても月曜に出社して折り返すこともしばしばです。またローカルサーバーにアクセスするためのリモートソフトも無料版しか支給されていないので、とにかく反応が遅い。コードひとつ書き換えるのに、自宅で打ち込みをして出勤している同僚にメールで送り、社内サーバーにアップしてもらうことも……。そもそも自宅にWi-Fi環境がない人もいますし、生産性はダダ下がりですね」

入ってきたはずの助成金も一向に備品購入に使われず

 さらに、会社が強引なテレワークに乗り出したことには、実は「とある理由」があるのだという。 「狙いはテレワーク導入の助成金です。国からの助成金をもらうために、社員にテレワークをさせて、会社は『ウチはこれだけテレワークをしています』と一定の成果を申請すれば、助成金の対象になるんです。僕たちはいわば名目づくりの人柱で、入ってきたはずの助成金が一向に備品購入には使われていない。最近では口実を増やすために、お得意先が作った200万円もする会議用ソフトをわざわざ購入するらしいです」  社員からは「Zoomでよくない?」と不満の声が出ているとか。 「そもそもウチの県はコロナ患者も少ないせいか、『感染対策のためのテレワーク』という意識が薄い。さらに中小企業では、業務のシステム化が進んでいないので、テレワーク導入はまだまだ難しいのが現実ですね。助成金が下りたら、出社スタイルに戻すのでは?」  働き手の努力ではどうにもできない、理不尽な格差があるのだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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