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渡部建のグダグダ謝罪会見。ダメなところを3人の識者が分析

謝罪はきちんとした設計図を描くことが重要

竹中功氏

謝罪マスター・竹中功氏

 終始要領を得なかった渡部氏の謝罪会見は、世間の慈悲心に響かなかったようだ。「歴史に残るダメダメ会見だった」と論評するのは、「謝罪マスター」として活躍中の竹中功氏。会見時、本人および周囲の関係者たちに欠落していたのは何だったのか。そして「謝罪」とはどうあるべきなのかを尋ねた。 「テレビ局側の危機管理能力の甘さ。なし崩し的に復帰を図った渡部氏側の浅はかさ。ここぞとばかりに吊し上げにかかったリポーターの情の薄さ。そして、ろくなリハーサルもなかったであろう会場セッティングの急ごしらえ感……。すべてがダメでしたね」  さらに竹中氏は謝罪場面に必要不可欠なポイントについて続ける。 「『誰が』『誰に対して』『何について』謝っているのか。これを明確にするのが謝罪のセオリー。それをふまえて『今後、妻を裏切りません』など起こしたことの問題点に気づき、具体的な再発防止策を述べるべき。さらに、会見ではリポーターに何を質問されるのか、世間は何を知りたいのか。事前に想定されることを把握して“謝罪の設計図”を描くのが重要です」

歴史に残るダメダメ会見

渡部建

写真/時事通信社

 会見では「本当に申し訳ございません」と芸がない言葉を繰り返していた渡部氏について、竹中氏は次のように苦言を呈した。 「彼は司会やグルメタレントなど、芸人とは違う側面も見せていた。さらに人気女優を妻にしてイメージも上げたことで、本来の“芸人”としての立ち位置を忘れてしまったのでは。相方である児嶋一哉氏が『天狗』と発言していたというのもうなずけます。地位があっても、芸人として『自分を笑う』という精神を忘れないことが大切。『スミマセン、所詮芸人ですから』と“自虐”し笑いに昇華させていたら周囲は納得したかも。サプライズとして会見の場に児嶋氏を登場させるというアイデアもあったのでは」 「謝罪のゴールは世間に理解されること」という竹中氏。「周りから理解が得られれば、やがて『アイツはしかたないな、次がんばれよ』と応援に変わることもある。もう一度、相方とネタを作って出直してほしい」とエールを送る。  人々の心を打つ謝罪には、しっかりとお膳立てされたシナリオ設計が必要不可欠ということだろう。 【評論家・佐藤直樹氏】 九州工業大学名誉教授・評論家。専門は世間学、現代評論、刑事法学。著書に『なぜ日本人はとりあえず謝るのか』(PHP新書)、作家・鴻上尚史氏との共著『同調圧力』(講談社現代新書)など。 【作家・脚本家・梅田みか氏】 作家・脚本家・エッセイスト。人気テレビドラマ『お水の花道』『花咲舞が黙ってない』などの脚本を手がける一方、著書『愛人の掟』シリーズは不倫に悩む女性たちのバイブルとしてベストセラーに。 【謝罪マスター・竹中 功氏】 「謝罪マスター」。元・吉本興業専務として活躍後、個人事務所にて危機管理コンサルタントや作家として活躍中。著書に『吉本興業史』(角川新書)など。現在はワタナベエンターテインメント顧問。 <取材・文・撮影/櫻井れき 時弘好香(本誌)>
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