仕事

リアル『下町ロケット』? 世界初「木のストロー」を実現させた女性社員の情熱

木のストローで社内のSDGsも推進

 実はこの木のストローは、アキュラホームにも変革をもたらした。  横浜市との縁がきっかけで、横浜市内にあるアキュラホームのサスティナブルなモデルハウスに、イケアのサスティナブルな家具を期間限定で設置してSDGsハウスをつくるという初のSDGsプロジェクトが実現したのだ。
 アキュラホーム×イケア×横浜市が連携した「SDGsハウス」

アキュラホーム×イケア×横浜市が連携した「SDGsハウス」のキッチン

 これを機に、自社のSDGsへの取り組みを紹介するパンフレットがつくられ、社員の間でもSDGsへの理解が深まっていったと、西口さんは話す。今は社員がSDGsバッチをつけるまでになったそうだ。  「私も最初は環境には興味がなかったのですが、ちょっとしたきっかけで、ここまでのめり込むようになりました。バッチ一つでも、それを身に着けることで、その行動の意味を考えるきっかけになるといいなと思っています」  いまひとつよくわかりにくいSDGsも、身近にあるちょっとしたことをきっかけに環境や社会に目を向ける「入口」と考えれば、少し距離が縮まるかもしれない。

それぞれの熱い思いがつながっていく

 その後も木のストローは、小さな木の芽が枝葉を広げて大きくなるように、いろいろなつながりを生んでいる。  横浜市と進める木のストローの「地産地消モデル」、1000万本プロジェクト……。  「グッドデザイン賞」は2年連続で受賞し、2020年は「第29回地球環境大賞 農林水産大臣賞」というビックな賞も受賞した。 書籍『木のストロー』  西口さんは昨年、『木のストロー』という本を出版した。ここに描かれた開発舞台裏に、新しいものを世に出すというのは、かくも大変なものなのかとドキドキする。また、木のストローに関係した社外の人たちのコラムが濃厚で、それぞれの熱い思いが伝わってきた。  そして改めて、持続可能な社会につながるビジネスを生み出すことの意義を考えるのである。 【西口彩乃さん】 1989年、奈良県生まれ。立命館大学理工学部環境システム工学科卒業。2012年、木造注文住宅会社の株式会社アキュラホームに入社。営業職を経て、2014年より広報を担当。2018年から「木のストロー」の開発に携わり、2019年1月、ザ・キャピトルホテル東急に木のストローが導入された。2019年に開催されたG20のすべての会合で木のストローが採用され、その後も様々な広がりを見せている。 <文/日刊SPA!取材班>
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木のストロー

「住宅会社がストローをつくってどうするんだ!」間伐材再利用と廃プラ問題解決のため、ど素人の住宅会社広報担当が「木のストロー」制作に立ち上がった。社内の反発、失敗続きの試作品、記者会見直前の大トラブル…。まるで「下町ロケット」のような開発実話!2019年G20で採用。地球環境大賞農林水産大臣賞受賞。
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