4月1日から「改正高年齢者雇用安定法」(通称・70歳就業法)が施行される。これによって、いよいよ「70歳まで働き続ける」が常識になる世界が現実味を帯びてきた。「70歳就業法」が始まることで我々の働き方はどう変わるのか。まずは制度のポイントを、転職支援を手がける「シニアジョブ」代表の中島康恵氏が解説する。
法改正は「老後も自分で稼げ」という国からのメッセージだ!

イラスト/てんなま
転職支援を手がける「
シニアジョブ」代表の中島康恵氏は、制度のポイントをこう解説する。
「この法改正によって企業には希望する社員には70歳まで働けるようにする“努力義務”が課せられます。
これまでの『高年齢者雇用安定法』では、企業は
①65歳までの再雇用
②65歳までの定年の引き上げ
③定年制の廃止
のいずれかの実施を義務づけられていました。
今回の改正ではそれぞれ65歳を70歳に延ばすことに加え、
④他企業への再就職を支援
⑤フリーランスとして業務委託
⑥独立後に業務委託
⑦社会貢献事業への参加
という、新しい働き方の選択肢を増やしているのがポイントです」
現在の定年制度は3つの選択肢があるが、実際には週刊SPA!が会社員200人を対象に行ったアンケート結果にもあるように、再雇用制度をとる企業が圧倒的に多い。
Q1.あなたの会社の定年制度は?
・60歳以降は希望すれば再雇用……63%
・定年が65歳まで引き上げられている……18%
・定年が70歳まで引き上げられている……1%
・定年制度がすでに廃止された……10%
・もともと制度自体がない……8%
対象/勤続10年以上の45~55歳正社員男性(調査期間は1月10~15日)
新制度ではそこに4つの選択肢が加わる。⑤や⑥は一度退職してから業務委託先として会社の業務を請け負うこと、⑦は企業が運営するNPO法人への出向などが想定されるという。これは“正社員以外”の選択肢を、国が増やしているということだ。
「つまり70歳まで正社員として今の会社で働ける保証ではないと、念頭に置かなくてはなりません」