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サッカーの神様・マラドーナの栄光と転落が、秘蔵映像で明らかに

薬物所持で逮捕、15カ月もの出場停止に

 1990年にイタリアのナポリで開催されたワールドカップ準決勝のイタリア代表戦で、マラドーナ率いるアルゼンチン代表がPK方式の末に決勝戦へ駒を進めた。この一戦が転機となり、マラドーナはイタリア国内でも味方が減少。その数カ月後には、違法薬物の所持で起訴されることになった。
MARADONA-ARRESTATION

1991年、コカイン所持によりアルゼンチンで逮捕された

 そして蜜月の関係を築いていたカモッラにも見捨てられてしまった。本作では逮捕に至るまでの盗聴捜査の音声が公開されており、違法薬物の売買と買春の生々しい現場を実感できる。その後、前代未聞の15カ月間の出場停止処分となり、イタリアを去ることになった。

神であっても、重圧と孤独から逃げられない

 再起を懸けて1994年に開催されたアメリカ・ワールドカップに出場したが、本大会中に使用禁止薬物が検出されて再び出場停止処分が下され、選手として大きな表舞台に戻ってくることはなかった。  一時は神にまで上り詰めたマラドーナだったが、重圧と孤独を抱えて堕落してしまった。その一部始終を描いた本作は、SNS主流の現代人に一石を投じる作品と言えるだろう。自身が見せたい良い部分だけを拡散して承認欲求を満たしても、周囲からの重圧や孤独からは逃れられない。それが、サッカーで世界的名声を得たスーパースターの最後に残したかったメッセージなのかもしれない。 <TEXT/スポーツライター 川原宏樹 ©2019 Scudetto Pictures Limited>
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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