更新日:2021年03月01日 13:43
お金

藤田菜七子騎手の成績から判明した女性ジョッキーを買うべきレース

 

中長距離戦は割引か……

 短距離戦が得意、ということは、反対に、「長距離戦は苦手」とも言える。女性ジョッキーの長所ばかりを挙げてきたが、短所に関してもしっかり見つめていかなければならない。2000m以上の距離になると複勝率は9.5%にまで低下し、回収率も10%ほど低下するのだ。これは、藤田菜七子騎手のレースを見ていて感じたことだが、中長距離戦において、「折り合いをつけるのに苦労」しているシーンが多い気がする。  折り合い難の馬に騎乗したジョッキーは、レース後に「腕がもげそうになった(笑)」なんて話をよくしてくれるが、折り合いを欠く馬を制御するには、かなりの腕の筋力を必要とするのだろう。これをヒントにすると、やはり、より筋力的な部分を必要とされる中長距離戦は、女性ジョッキーにとっては少々不利なのかもしれない。女性ジョッキーの減量制度においても、距離ごとに減量kg数を決める、というやり方も今後検討する価値はありそうだ。  しかし藤田菜七子騎手は、その筋力的な部分もカバーしようと努力しているように感じる。この数年で「折り合いをつける」技術が向上しているのだ。 ▼2000m以上の年別複勝率 2021年12.5% 2020年12.5% 2019年12.0% 2018年9.1% 2017年2.7% 2016年2.9%  特に、2020年10月10日のヴェンチェラスター1着、シーオブザムーン3着という2レースが、その努力の結晶のようなレースであったので、ぜひご覧いただきたい。今後デビューしてくる女性ジョッキーたちも、はじめは中長距離戦で苦労する可能性は高い。馬券的には静観するのが妥当だ。ただ、人は成長する。女性ジョッキーが、より競馬界を盛り上げてくれることも祈りつつ、温かい目で成長を見守っていくことにしよう。

永島まなみ騎手の父は兵庫の名手、古川奈穂騎手は名門、矢作厩舎所属

 永島まなみ騎手は、兵庫の名手と言われ、現調教師の永島太郎さんを父に持つ。太郎さんは、兵庫県競馬で小牧太、岩田康誠両騎手に次ぐ活躍をすることもあった。まさに血統書つきのサラブレッドだ。太郎さんは、体重オーバーでJRA騎手試験を落ちたという経緯もあるが、その夢舞台に娘が立つ。期待は高まるばかりだ。  古川奈穂騎手は、栗東の矢作厩舎の所属に。矢作調教師は、すでに多くの女性が活躍している競輪の大ファンでもあり、興行としての競馬への意識も高い。また弟子へのバックアップも手厚い。所属する坂井瑠星騎手は、調教はもちろんのこと、レースでの起用も多く、今の時代では珍しくなった、師弟愛を感じられる。  リーディング1位の名門厩舎は、馬作りだけでなく人作りにおいても“名門”と言える。技術的にも人間的にも、矢作調教師の元で古川奈穂騎手がどう育っていくのか今から楽しみだ。 (データは全て2020年2月15日時点)
元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。
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