その予想方法はもう古い!流行りの馬券術の「寿命」が短い理由
個人的な話で恐縮なのですが、2018年から3年続けて僅かながらも回収率100%超えを達成していたのですが、2021年の馬券収支は大幅なマイナスとなる大転落となってしまいました。買い方や思考を大きく変えたわけではないのになぜ……。思いを巡らせ、原因を考えた結果、変わったのは自分ではなく、オッズではないかと考えるに至ったのです。
日本の競馬のオッズは「パリミュチュエル方式」で決まります。パリミュチュエル方式とは「売上から胴元が一定の割合を差し引いて、残りの金額を的中者に配分する」方式のこと。カンタンにいえば、的中者による山分け方式。「的中者が多い=的中馬券に投じられた金額が大きい」ほどオッズは低くなり、「的中者が少ない=的中馬券に投じられた金額が小さい」ほどオッズは高くなります。
パリミュチュエル方式が採用されたことにより生じるのが、馬券術の「寿命」です。
私は馬券攻略誌の編集部に在籍していたので、多くの優秀な馬券術と触れ合ってきました。しかし、いくらロジックが正しく優秀な馬券術であったとしても、最も輝きを放つのは世に出る瞬間で、次第にその輝きを失っていきます。その理論が広く知れ渡り、支持されていくことによって、オッズが下がってしまうからです。
それでも、情報の拡散経路が、雑誌・書籍での紹介や自身の予想サイトでの予想提供ぐらいだった時代は、情報が広まるまでに時間的猶予があり、その間に予想理論もブラッシュアップされるため、急速に陳腐化するということはありませんでした。
しかし、今は、情報拡散の速度が格段に上がっています。
その要因として、1つは馬券ファンのレベルアップが挙げられます。上質なデータベースが提供されるようになり、馬券ファンの真贋を見極める目が肥えたため、優秀な馬券術が正しく評価され、オカルトまがいのものは淘汰されるようになってきました。
そして何より、SNSの発達です。今や、SNSを使って誰でも気軽に予想を発信できますし、有料で予想を提供する媒体も増えました。言わば「一億総予想家」時代です。
優秀な馬券ファンが、その時代の“トレンド”ともいえる情報を活用して、各々、予想を発信する。その拡散力は、以前の比ではありません。しかも、“トレンド”の予想法を用いているため、どうしても狙い馬は被りがちです。
馬券術には「寿命」がある
上質なデータベースとSNSの発達
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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