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NHK朝ドラ『おちょやん』。主人公のモデルはドラマ以上に“壮絶人生”だった?

シャレで起用されたCMから一気に広まった知名度

 千栄子の活動拠点は主に関西が中心であった。その柔らかい大阪弁が印象的で“大阪のお母さん”という異名も持つ、関西に縁の深い女優であった。  それが昭和40年代に入ってからのこと。千栄子は自身の本名である南口キクノ(なんこうきくの)にちなんで、“軟膏効くの”というシャレで、大塚製薬の『オロナイン軟膏』のメインキャラクターに起用されることに。CMだけでなく、ホーロー看板にも登場したことでその知名度が一気に全国に広まったのだ。  一方、私生活では稼いだお金で京都嵐山に土地を購入。天龍寺内に旅館“竹生(ちくぶ)”を開き、養女とともに経営するなど、実業家としての一面もみせている。

そして突然の訃報

 まさに激動の人生を歩んできた感のある千栄子ではあるが、その最期も突然であった。人生の最後の場所となったのは京都嵐山の自宅。亡くなる2日前の夕方、「しんどい」と言って横になり、そのまま静かに息を引き取ったのである。死因は消化管出血で、’73年12月22日のことであった。享年66歳。死後に勲四等瑞宝章が贈られている。  以上の3エピソードを選んでみた。ドラマでもここから先、まだまだ悲喜こもごもの展開が待っていると予想される。史実との違いを知ったうえで観てみると、また違った発見や面白さがあるのではないだろうか。<文/上杉純也>
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