お金

登場人物、全員詐欺師。詐欺の“沼”にハマる友人を助け出すことはできるのか?

第十四話 説得

 詐欺の沼……。それは入ってしまった本人には気付かない、底なしの沼っ!!  そこに入りかけている友人をなんとか説得して、引っ張り上げました!!!!!  というのも、先日彼を喫茶店に呼び出したときに、こんな会話をしたんです。 オレ「ところで、この詐欺マルチみたいなセミナーに勧誘したのは俺が最初?」 彼「はい。ハッシーさんだけです」 オレ「よかったな! 続けてたら友達おらんくなるところだったぞ」 彼「本当そうですよね。ありがとうございます」  どうやら彼が発信したことによる被害者はいないみたいです。とりあえず第一関門クリア……。ただ本当の問題はここから。 オレ「ほんでいくら払っちゃったの?」 彼「3アカウントなので96万円です」 オレ「ん!? そのアカウントというのは何?」 彼「1アカウント32万円なんです」 オレ「だからアカウントってなんやねん!」 彼「セミナーで説明してませんでした?」 オレ「え? ああ……そういえば(なんか言ってた気がするけど、他に気になることが多すぎて頭に入ってこなかったわ!)」  改めて話を聞いてみると、アカウントが増えることで、バックされる割合が増える仕組みのようです。いや、それにしても3アカウントって……。スケベ心出したくなるのはわかるけど、騙されすぎだろっ!!!!!

騙される人の典型っ!

 その後、オレの説得によって明らかに落ち込んでしまった彼を見て、話を続けました。 オレ「まぁ、96万円は高めの勉強代だと思ってさ! 俺が仮想通貨教えるからそれで取り返しなよ」 彼「教えてください! 何をしたらいいんですか?」 オレ「まずは取引所に口座を作って……」 彼「す、すぐやりますっ!!」  話が終わる前にスマホを取り出し、喫茶店で仮想通貨取引所の口座を作り始める彼を見て、「こんな風に騙されてたんだろうか……」と心配になりました。  オレは彼を騙すつもりはない。ただ俺が悪いヤツだとしたら、ここで説得できたことに漬け込んで、彼を騙せてしまうだろう。となると彼は、オレが詐欺師でなかったことがただの”ラッキー”でしかない。素直に話を聞いて即行動するのは彼の長所かもしれないが、こと投資においては詐欺が否かを見極める力をつけてほしい、と心から願うばかりです。 <マンガ・文/ハッシー橋本>
愛知県出身の漫画家。パチンコ・パチスロ漫画を中心に活躍し、‘15年より月刊ヤングマガジンで連載を始めた『賭博黙示録カイジ』のスピンオフ『中間管理録トネガワ』が大ヒット。サウナとビールの愉悦を描いた『極上!サウナめし』はサウナ好き必見の一冊 Twitter @hashimotosan84

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