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パチンコ屋が最もいらない“客”とは。パチプロの存在をどう考える?

―[パチンコ崩壊論]―

パチンコ屋にとって客とは一体なんなのか?

パチンコ崩壊論

『パチンコ崩壊論』の著者である大崎一万発氏とヒロシ・ヤング氏

「客」という言葉を広辞苑で調べると、「商売で料金を払う側の人」と記されている。一般的にはその意味でなんの疑問もない。しかし、ことパチンコ業界においてはどうだろうか。  金を払い、玉やメダルを借りて遊戯する。ここまでは広辞苑に書かれた「客」であることはわかる。だが、場合によっては大当たりして大量の出玉を得ることができるのもパチンコである。そして、その客は景品に交換して、店側に払った金以上の対価を持って帰ることもできる。まぁ、大半の人は買ったり負けたり、いや、むしろ負けることの方が多いわけで、往々にしてパチンコ客も「客」であることに間違いはない。  一般客と違い、パチンコで金を稼ぐパチプロと呼ばれる人々がいる。負け続けている人はプロとは呼べないわけで、パチンコ店からすれば彼らは果たして「客」なのだろうか。  最近では、パチンコ屋の特定日を狙い、パチンコ台を特殊な打ち方で金をむしり取っていくパチプロもおり、業界が縮小し続ける現在も存在する。個人で動いているプロもいれば、SNSで人を集めて集団打ちする、いわゆる“軍団”を取り仕切っているプロも多い。彼らは決して「商売で料金を払う側の人」ではない。むしろ逆……、いや逆とも言えない、立場が不透明な存在だ。果たしてそんな彼らはパチンコ屋にとって「客」と言えるのだろうか……。  こうしたパチンコ界が抱える疑問や問題点や現状について、業界の重鎮である大崎一万発、ヒロシ・ヤングが鋭く斬り込んだ『パチンコ崩壊論』から引用しつつ、パチンコにおける「客」という存在について、改めて考えてみたい。

パチンコ屋と客ではお互いの求めるモノが違う

 ヤング氏はパチンコは客に対して何を提供しているかについて、こう言及する。 「パチンコにおける客を突き詰めると、『パチンコ屋とは何を売る商売なのか?』となる。その点で、店と客の間に大きな乖離があると思うんだよ。パチンコ屋の売り物って……『遊技の楽しさ』だったり『ドキドキやワクワクの体験』。すなわち、店で過ごす時間を売ってる。だから『時間消費型レジャー』なのであって、台に座ったら代金を置いていくべき、これが『正しい客=消費者』としての在り方なんだよね」  この意見に対して、大崎氏は間髪入れず鋭く突っ込みを入れる。 「ワハハ、ウリは出玉じゃないんかーい(笑)。散々出ます出します勝たせますってあおっておいて、ドキドキの時間を過ごしたからハイお代を頂戴しますでは納得できないよな」  そう、パチンコにおける客と店とでは、それぞれに“売っているモノ”に対してまるで異なる考えを持っているのだ。パチンコ屋はそもそも何を売っているのか……。当たり前だが、パチンコを打つ者は「売っているものを買っている感覚」はないのである。
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Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
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