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コロナ禍のパチンコ、なぜ悪者にされた? 98.7%のホールが休業したのに

―[パチンコ崩壊論]―

パチンコバッシングから見え隠れする日本人の本質

パチンコ崩壊論

『パチンコ崩壊論』の著者、大崎一万発氏(左)とヒロシ・ヤング氏(右)

 昨年の新型コロナウィルスによる非常事態宣言で、嵐のようなバッシングを受けたパチンコ業界。バッシングや休業による倒産、廃業により、娯楽の王様と呼ばれたその勢いには陰りが見える。都内のホール関係者は当時のことをこう振り返る。 「店内にテレビを置いて流しているでしょう。でも、ワイドショーやニュースでパチンコ打ちに行く人たちが晒されたりして、自分らが悪者になったような気持ちになった。ウチの店は非常事態宣言の翌日から休業。最初は時短営業にしようかって話もあったけど、風当たりの強さを考えて休むことにしました。  でも、パチンコは当時、補償を受けられない業種だったんで、お金のことを考えるとどうしてもね。経営者や幹部が無給なるのはいいんですよ。社員やバイトの生活を考えたら、批判を覚悟で店を開けるべきだという意見も出ました」  税金を払い、商店街などの地域イベントにも積極的に参加していたのに、補償も出ない、店を開けるだけでバッシングされる状況に置かれたことで、自分たちがいるパチンコという業界の存在について社会からの疎外感を感じたという。  コロナによる一連の社会情勢の変化は、パチンコ業界に大きな影を落とした。いや、影を落としたことよりも、パチンコ業界が抱える諸問題を白日の下にさらすことになったのではなかろうか。  パチンコ業界が内包する問題とコロナ……。その先にはいったいどのような未来があるのか、パチンコの諸問題に鋭く切り込み話題となった『パチンコ滅亡論』の著者である大崎一万発氏とヒロシ・ヤング氏が、さらに鋭くパチンコに斬り込んだ最新刊『パチンコ崩壊論』から引用しながら、パチンコ業界の未来について探ってみたい。

補償はないが休業を迫られた

 一連のバッシングについて、ヒロシ・ヤング氏はこのように振り返る。 「絶対見逃しちゃいけないのが、この時点(※昨年の緊急事態宣言前後、4月頃のこと)ではまだパチンコが5号セーフティネットの対象外だったっていう事実ね。何の保証もないのに休めないよっていう考え方は、今だと共通認識になってる感はあるけど、この時点ではとにかく休業! 自粛! が『正義』だったわけで」  5号セーフティーネットとは、業績が悪化している業種に属している中小企業を支援するための措置である。しかし、全ての業種ではなく、中小企業庁が指定業者として認定している業種に限られる。この時点ではパチンコ業界は5号セーフティーネットの指定業種ではなく、パチンコ店の多くは支援が受けられなかったのである。  前出のホール関係者が訴える「疎外感」とは、まさにこのことである。税金を払い、商店街などの清掃活動などにも率先して参加しているにもかかわらず、ピンチの時ははしごを外されたわけである。さらに当時の状況をヤング氏はこう続けた。 「そして16日、緊急事態宣言の全国拡大。こうなると業界内でも、休業しない店舗は「悪」だって意見が大勢となった。実際、最終的には全国98.7%のパチンコ屋が休業に踏み切ったわけ。これってさ、凄い数字だよね」  他業種でここまでの休業率を達成し、統計として記録が残っているものは果たしてあったのだろうか。しかし、こうした動きは誰からの評価もなく、バッシングの炎はさらに激しく燃え上がっていった。
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吹き荒れたパチンコバッシング
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コロナがパチンコ業界にもたらしたもの、変えたものとは一体何だったのか。
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