お任せとは言いつつも、必ずコースに組み入れてもらうのが揚げ春巻。ここの揚げ春巻は私の人生イチ！　現地で食べるよりおいしいかも。皮が薄くてサックサクで、具のみっちり感と旨みの凝縮感が半端ない！　挽き肉だけでなく、甲殻類の味がするなーと思って聞いてみると、「海老と蟹も入っています。その他クワイや人参、干し椎茸や干しきくらげなど全部で20種類ほど。あと調味料もいろいろ。ベトナム人は旨みを追求する民族なんです」と中塚雅之さん。なんですと！　20種類の材料を切るだけで気が遠くなりそう。そりゃ、おいしいはずだわ。旨みが複雑で立体的なのは、ブレンドの相乗効果だったのね。 　あとは冬から春の間は、紫山芋とたたき海老のスープ（季節限定）もマストで。美しい紫色のスープは独特のとろみがあって、れんげで口の中に運んだ瞬間に舌の上で海老と鶏の旨みが爆発する感じは衝撃的。 　と私がおススメするのはここまでにして、あとはぜひ、森泉さんと中塚さんのおふたりに身を委ね、未知なるベトナム料理の世界に連れて行ってもらってくださいー。できればコース料理、それも貸し切りで！　貸し切りのコース料理こそが、この店の真骨頂にして、醍醐味かと。 〈文／ツレヅレハナコ　撮影／キッチンミノル　構成／和田紀子〉 ※新型コロナウイルスの影響により、営業時間や定休日が変更になっている可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください。食と酒と旅をこよなく愛する編集者。雑誌などのメディアやTwitter、Instagramでレシピや美味しいお店を発信中。新刊『ツレヅレハナコの2素材で私つまみ』がKADOKAWAより好評発売中。他にも『女ひとりの夜つまみ』（幻冬舎）、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』（PHP研究所）『ツレヅレハナコの南の島へ呑みに行こうよ！』（光文社）、『女ひとり、家を建てる』（河出書房新社）など著書多数。Twitter@turehana instagram@turehana1