店主の羽賀大輔さんに会いたくて、羽賀さんが勧めるワインを飲みたくて
店主の羽賀大輔さん。代官山「キアッケレ」青山「フェリチタ」(共に閉店)など有名イタリアンを経て、2010年に独立。29歳で下北沢にイタリア郷土料理と自然派ワインが楽しめるバール「クオーレ・フォルテ」を、2013年には地下にワインバー「フェーガト・フォルテ」をオープン
でも、それ以上に魅力的なのが店主の羽賀大輔さん。私も含めて、みんな羽賀さんに会いたくてこの店に通っているんだろうと思う。
イタリアワインに対する愛が半端なくて、ワインの話を始めたら、立て板に水の弁士のごとし。毎年イタリアの生産者を訪れていて、そのときの様子をまとめたアルバムをを見せながら熱く語る語る。それがまるで壮大な叙事詩のようで、うっとり聞き入って飲むのも忘れてしまうほど(って、もちろんそんなわけない。ちゃんと飲んでる)。
でも、ここではワインを飲みながら、物語を飲んでいるんだなーといつも思う。だから、グラス1杯の満足度がものすごく高い。
毎年イタリアのワイナリーを巡り、そのときの写真をまとめてアルバムを作っている。「最初は自分たちが見返すために作ったのですが、お客さまに説明するときに、これを見せるとイメージしやすいんですよね。どんな土地なのかとか、225リットルの樽のサイズ感とか」(羽賀さん)
たとえ飲んだことのある作り手のワインでも、ヴィンテージによって、ボトルによって、まったく味が違うから、ここではいつも羽賀さんに完全にお任せ。
そもそも私が飲んだことのあるワインなんて、たかが知れている。せっかくだったら知らないワインを飲んだほうが楽しいし、私よりよっぽどワインに詳しくて、愛のある羽賀さんのような人にガイドしてもらえば、おいしいものが飲めるのは間違いないから。
「鳩のフリット」¥2,860。骨付きの鳩肉は鉄分を感じるパンチのある味。ワインはダリオ・プリンチッチのトレベツ2011年¥1,430。「シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、ピノグリージョの3種類のぶどうで作っているオレンジワイン。どんな食事にも寄り添ってくれます」(羽賀さん)。「わー香りを嗅いでるだけで飲めますねって、自分で言ってて意味不明」(ハナコ)
「ひと口にワインといっても、本当にいろんなワインがあるので、お客さまがその時においしいと思えるワインを飲んでほしい。体調はもちろん、1軒目なのか2軒目なのかによってもお勧めするワインは変わってくるので、やはり会話は大事ですよね」と羽賀さん。
名物「越後もち豚のポルケッタ」¥2,860。「皮が甘くておいしい! 豚の脂でコンフィされた野菜がまるでソース」(ハナコ)。ワインはイル・パラディソ・ディ・マンフレディのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年¥1,870。「もう死ぬほどうまいです。とにかく飲んでください。やばいです。何の説明もいりません」(羽賀さん)
上階のイタリアンバール「クオーレ・フォルテ」の料理を、ここでもすべて頼めるので、レストラン使いができるのもいいところ。とはいえ、カウンターのレストランと明らかに違うのは、中にいる羽賀さんは料理をせず、ひたすらワインをサーブするだけ。だから、あまり気を遣うことなく羽賀さんを独占して、ワインの話をじっくり聞いていられるんだなー。そういう店って、意外にないかも。
〈文/ツレヅレハナコ 構成/和田紀子 写真/キッチンミノル〉
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間や定休日が変更になっている可能性があります。最新情報は店舗にお問い合わせください。
食と酒と旅をこよなく愛する編集者。雑誌などのメディアやTwitter、Instagramでレシピや美味しいお店を発信中。新刊『
ツレヅレハナコの2素材で私つまみ』がKADOKAWAより好評発売中。他にも『
女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『
ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)『
ツレヅレハナコの南の島へ呑みに行こうよ!』(光文社)、『
女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)など著書多数。Twitter
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