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デスマッチファイター・葛西純。どんな凶器よりも「ゴキブリ、歯医者のほうが怖い」

デスマッチファイター・葛西純 仕事を貫き通す極意

ドキュメンタリー映画『狂猿』/デスマッチに人生を捧げる男・葛西純

ドキュメンタリー映画『狂猿』/デスマッチに人生を捧げる男・葛西純

 蛍光灯やガラスによって刻まれた無数の傷跡。「顔は男の履歴書」ならぬ「体は男の履歴書」か。プロレスの中で最も過激で危険なジャンル、デスマッチに人生を捧げる男・葛西純(46)。デスマッチファイターであり、二児の父親でもある葛西の半生を追ったドキュメンタリー映画『狂猿』が5月28日から公開される。  世界がコロナウイルスという災禍に包まれ、人と人との距離を取らざるを得なくなった時代。肌と肌をぶつけ合うプロレスもまた、苦境を余儀なくされている。そんな最大のピンチの中でも、デスマッチに対する葛西の愛と情熱は微塵も揺るがない。血だるまの死闘をくぐりぬけて早20年超。稀代のデスマッチファイターに、一つの仕事を貫き通す極意を聞いた。

デスマッチだけが人生で心底褒められた

ドキュメンタリー映画『狂猿』ポスター

ドキュメンタリー映画『狂猿』ポスター/(c) 2021 Jun Kasai Movie Project.

 葛西のプロレス狂人生のスタートは小1の冬。地元・北海道の帯広で初めて生で目撃した全日本プロレスの試合。正道のジャイアント馬場ではなく、その対戦相手で悪役のブルーザー・ブロディのバイオレントぶりに心を奪われた。そこから数10年後にプロレスはプロレスでも、まさかデスマッチを生業にするとは。 「仕事に対する愛と情熱を維持するのに必要なのは、それが何よりも好きであるということ。自分にとってはそれがプロレスでありデスマッチでした。人によっては心底好きなことを見つけられず、情熱を捧げる対象もなく、模索の途中で生涯を終えることもある。自分とプロレスの出会いは偶然ではありましたが、生涯を捧げる対象に出会えたことは凄く幸せなことだと思っています」。  『狂猿』では、葛西の死闘ヒストリーが実際の試合映像とともにプレイバックされる。燃え上がるリング、車に跳ね飛ばされる外国人レスラー、蛍光灯でのしばき合い、カミソリや包丁が配置された板の上へのダイブ、鉄製の串での両頬串刺し…。混じりっけなしのハードコア映像の嵐。 「我ながら20年超もよく無事に生きながらえてきたなと思います。いつ大怪我を負っても、いつ死んでもおかしくないような殺し合いを続けてきたわけですから。よくここまでやってこれたなあ」とまるで他人事だが、デスマッチこそ自らの承認欲求を満たしてくれる唯一のものなのだという。「これまでの人生で、他人から心底褒められたことがデスマッチ以外にないんです。人生で初めて『葛西スゴイ!』と言われたのが、デスマッチでしたから」。まさに“好きこそ物の上手なれ”だ。
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デスマッチファイター・葛西純の苦手なもの
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1984年生まれ、映画好きフリーライター!インタビュー、取材、レビュー、オフィシャルカメラマン、オフィシャルライター
…なんでもやるのでいつでもどこでもなんでもお仕事の御用命お待ちしております!映画パンフレットも結構書いてます!買ってください!

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タイトル:『狂猿』
公開日:5月28日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー! 以降順次公開
出演:葛西純、佐々木貴、藤田ミノル、本間朋晃、伊藤竜二、ダニー・ハボック、竹田誠志、杉浦 透、佐久田俊行、登坂栄児、松永光弘 ほか
監督:川口潤
撮影:川口 潤、大矢大介、鳥居洋介、村尾照忠
録音:川口 潤 編集:川口 潤、築地亮佑((COLORS)  MA :三留雄也
ArtWork B LACK BELT JONES DC
写真撮影:岸田哲平、中河原理英
制作:アイランドフィルムズ 企画:佐藤優子
製作:葛西純映画製作プロジェクト(スペースシャワーネットワーク+ポニーキャニオン プロレスリング FREEDOMS
配給:SPACE SHOWER FILMS
【 1.78 1 /カラー/ステレオ 107 分/ 2021 年/日本/ PG12 】

(c) 2021 Jun Kasai Movie Project.

HP:Kyoenmovie.com

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