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北朝鮮の「幸せ家族」は嘘だった! 当局のヤラセを隠し撮りしたドキュメンタリー映画『太陽の下で 真実の北朝鮮』の衝撃

 北朝鮮当局のヤラセによって創作された「幸せそうな家族」を、そのショッキングな舞台裏までを含めて包み隠さず捉えた超異色のドキュメンタリー映画『太陽の下で 真実の北朝鮮』が、来年1月21日からシネマート新宿などで順次公開される。  北朝鮮と聞けば拉致問題、核問題と物騒な話題ばかりが先行し、「金王朝」と形容される世襲制による独裁国家と、マスゲームに象徴される「洗脳された国民」というイメージが強い。しかし、いざそこに暮らす一般の人々の実像となると、情報量は極めて限られたものとなり、映像に収められることも稀だ。もちろん、当事者の手記や様々なノンフィクションはあるが、伝聞と実際に目にするのとでは全然訳が違う。  この映画のすごいところは、これまで伝聞ではよく知られていた「劇場国家」とやゆされる北朝鮮当局の作為とコントロールの実態を、当局の監視をかいくぐって「隠し撮り」を敢行し、そのフィルムを検閲される前に国外に持ち出したことだ。  監督のヴィタリー・マンスキーは、2年にわたる交渉の末に、平壌に住む少女ジンミと両親の3人家族の生活を撮影できる許可を得た。だが、現場に常時当局の演技指導者が張り付いて台本どおりの演技を要求するという異様な条件が課されていた。そのため、その一部始終を「隠し撮り」する方針に切り替えたのだった。
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一家で食卓を囲むシーンでは…
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テロリスト・ワールド

テロリストの例を評論・映画・小説・マンガを網羅しながら考察し、一律に解釈できない多様な正義を読み解く

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