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自民党の派閥はなぜまったく機能しなくなったのか/倉山満の政局速報

完全に分裂状態「麻生派」

麻生派54人  お金持ちの麻生さんが領袖。麻生さん自身は人望がある。お金持ちだし。(笑)
麻生太郎副総理財務大臣

画像:麻生太郎氏オフィシャルウェブサイト

 麻生派の前身は、河野派。河野洋平さんが領袖だった。それを無傷で譲ってもらった。麻生さん、河野洋平さんには大変な恩義を感じているらしい。だから、いずれは息子の太郎さんを総理大臣に、と考えているよう。  ところが太郎さん、まったく人望が無い。特にベテランに。ベテラン代表の甘利明さんなんか、麻生さんより先に勝手に「岸田支持」とか言い出した。岸田内閣ができたら幹事長になりたいのは、ミエミエ。完全に分裂状態。  それにしても、安倍派(細田派)97人と麻生派54人。足すと151人で、大勢力。それなのに、二階派48人に振り回されるって、どういうことなんだか。

かつて凄まじい権力を誇っていた「竹下派」

竹下派52人
竹下亘会長

画像:竹下亘氏オフィシャルウェブサイト

 この派はなぜか参議院が強い。昔の竹下派、竹下登さんが健在の頃は、「一致団結箱弁当」「鉄の規律の竹下派」「竹下派にあらずんば人にあらず」とか、すさまじい権力を誇っていた。 「竹下さんが首を縦に振れば、それで決まり」が日本の政治だった。今じゃ、まったく信じられないけど。  それでも参議院竹下派は、結束が強く、恐れられている。まず遅刻が許されないし。なぜか、引退した青木幹雄元参議院議員が仕切っている。青木さんは、昔は竹下登最側近で、あの小泉純一郎さんが「青木さんさえ味方につけていれば他全員を敵に回しても怖くない」と頼りにした人。その青木さんの今の側近が石井準一という人。  衆議院には、茂木敏充外相とか加藤勝信官房長官とかがいて将来の総裁候補だけど、はっきり言うけど事あるごとに参議院竹下派にコケにされてきた。今回も茂木さんが「我々が結束することが大事だ!」とその通りのことを言うのはいいけど、「そっち(衆議院)がまとまれよ」という感じ。

派閥らしい派閥「二階派」

二階派48人
二階俊博幹事長

画像:二階俊博氏オフィシャルウェブサイト

 5年にわたり史上最長任期の幹事長を務めてきたのが、二階俊博さん。じゃあ、何が凄いかと言うと、二階さんは普通のことを普通にやっているだけ。他の人が普通のことをやれないので、二階さんが卓越しているように見える。というか実際に相対的には超実力者。だった。  今回の政変で窮地に立ってますけどね。  かの宮崎健介氏の不倫(しかもイクメン宣言して格好つけたあげくに)が発覚した後、二階派の総会に全議員が集まる。二階さん、どんなこと言うのかと思いきや、 「宮崎君は仲間だ!世間が何を言おうと守るんだ!」  あれだけやらかしても守ってくれるんだ、と思うとみんなついていくでしょう。二階派、問題議員のたまり場みたいなところもあるけど、派閥らしい派閥。  その二階派で「今回だけは親分の言うことを聞けない!」と若手が大騒ぎ。そらあ、勝てない総裁で選挙やって、落選したくないですから。四大派閥が終わったところで、また次回。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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