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いいね!への渇望とSNS広告の洗脳…自分を見失っていくぴえん世代

ぴえん世代の価値観はSNSで洗脳される

ぴえん

イラスト/ツヅキエイミ

「若いうちに“女”を使って、整形してかわいくなって、ハイブランドを持ったら勝ち組っしょ!」  一部のぴえん系女子の間で、そんな風潮がもてはやされていることにも私は危機感を覚えている。  ほんの数年前までSNSにおけるファッションやメイクのトレンドは“盛る”だったが、現代はとにかく一発のインパクト重視の“映える(ばえる)”に変化したように思う。整形でもいいから美人だったり、高級なハイブランド品を持っている人が、“いいね!”を集める。 「同年代のあの女のコのアカウントは、なんであんなハイブランドが買えるんだろう?」  そんな疑問を持った少女が調べていくと、パパ活というものがあり、一緒に食事をするだけで数十万貰えるらしい。そんな勘違いが生まれる。そこに、“パパ”を謳う人物からDMが届く……。援助交際の始まりになりかねない。

日々受け取るのは「記号に当てはめられたコンテンツ」

 また、私はSNS自体のシステムも問題だと考えている。SNSでは自分がフォローしている人や物の“ターゲティング広告”が表示される仕組みが多い。TikTokやYouTubeといった動画投稿サービスにも、自分の視聴履歴に関連してレコメンドによってオススメ動画が提示される。  自分で主体的にコンテンツを選び取ったのではなく、「あなたみたいな人間はこういうものが好きでしょ?」という記号への当てはめを日々受けることになる。前述した整形、ハイブランドの投稿を見続けていて、同時に表示される広告は美容整形外科や出会い系サイトばかり……。物事の分別がまだついていない“子供”が見たら、どうなるのか――。  そんな“洗脳”に近いSNSを浴び続けたぴえん系女子のなかには、「かわいいこそ絶対的正義! 容姿が整っていない自分は愚かだ……」と思い込んでしまう人が増えてきている。これが整形依存やダイエット依存の入り口にもなりかねない。
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考える力を失っていくぴえん世代たち
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現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

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