経済力や外見は、恋愛に必須ではない
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モテるかどうかは、経済力や外見といった“親ガチャ”ではなく、「科学」要は「化学反応」で決まる。目の前の他人が自分を好いてくれるかどうかは、相手に生じさせた「脳内物質(ホルモン)」次第。「恋は盲目」と言われる所以は、「脳内物質」の絶大的な影響力にあるわけだ。
つまり「脳が恋に落ちる仕組み」を理解し、それを「五感」を刺激して演出すれば、誰でもモテる確率が上がる。
そもそも、恋とは何であるか。
これまで哲学者、歌手、映画監督、画家、歴史家、詩人、小説家、言語学者など、あらゆる分野の人は恋を「ロマンチックなミステリー」と形容してきた。
たとえば
『新明解国語辞典』第8版でも、恋は以下のように定義されている。
「特定の相手に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと」
しかし科学的には、恋は「ロマンチックなミステリー」ではなく、種の生存本能に基づく「リアリスチックなシステム」であることが分かっている。
ヒトは進化生物学的に自分に合った相手に恋すると、幸福を感じるようにできているので、「恋に恋している」だけである。
「好きになるまで時間がかかる」「熱しやすく、冷めやすい」というふうに、男女の恋愛観がまるっきり違うのも、恋に関わる脳内物質の影響が男女間で異なることが原因だ。
脳のしくみを理解し、自分の特性を活かせる「戦場」を選ぶ
筆者は、東大在学中から医療AIの研究を続けている
これまで、脳の血流動態を視覚化するfMRI(磁気共鳴機能画像法)を用いた、さまざまな「恋を解剖する」研究が行われてきた。その結果、恋をすると脳内物質によって主に4つの脳領域が活性化・非活性化されることが分かっている。
それは
①脳幹と
②大脳基底核(呼吸・心拍・自律神経といった「本能」を主に司る脳領域)。原始的な脳領域で、薬物やギャンブルを含む依存症との関係も深い。恋する相手を見ると、コカイン吸引時と酷似した脳状態になって、心地良い幸せを感じるので、相手に会いたくてたまらなくなる。
そして
③大脳辺縁系(情動・短期記憶・価値判断といった「感情」を主に司る脳領域)。恋する相手を見るとこの脳領域が抑制されるので、相手に負の感情を抱きにくくなる。
さらに
④大脳新皮質(知覚・計算・予測といった「知性」を主に司る脳領域)。恋する相手を見るとこの脳領域が抑制されるので、相手に対する判断基準が曖昧になったり,判断自体をやめてしまうようになる。
これらの脳領域を活性化・非活性化する「脳内物質」を理解したうえで、「五感」を適切に刺激して「脳内物質」の量を調節すれば、モテる確率はぐんと上がる。
あとは、自分がなるべく“売り手市場”でいられる場所を探して、異性と接する機会を増やせばいいだけだ。
「誰からも好かれたい」「とにかくモテたい」と思って、自分の特性を有効活用できない相手にばかりアプローチしたところで、誰とも特別な関係にはなれない。
活用する特性は「高収入」「高学歴」「高身長」「イケメン/美人」といった分かりやすいものでなくてもいい。「料理上手」「オタク的な知識・技術」「勤務地が〇〇」「楽器が弾ける」「結婚願望が強い/弱い」「年齢が高い/低い」といった誰でも持っている特性だって、相手を選べば武器になる。
だから自分の特性の中から2軸を決めて、恋愛対象を具体的に絞ってみよう。たとえば、経済力が低くて結婚を考えていない人でも、自由な恋愛や相手との共感を求める人などにはモテやすいだろう。同様に、料理が得意でオタクな人なら、好奇心旺盛で仕事が忙しい人にモテる確率が高い。
まずは自分の特性を活かせる「戦場」を選んで、そこで五感を刺激して恋を引き起こす「戦術」を駆使していけば、誰でもモテる確率が上がっていく。
我々は、白馬の王子様やお姫様にならなくたっていい。わずかな「要領の良さ」と「運の良さ」が、本当のモテる条件だ。
「あなたが恋しているならば、そこには該当する化学があるはずよ。それだけのこと」(サナ・レイサン)
1993年、韓国生まれ。16歳で東京大学に合格。日本政府から天才認定(学生としては初めて、研究業績だけで永住権を取得)を受ける。博士(情報理工学/東京大学)。英・ケンブリッジ大学/独・ミュンヘン工科大学/伊・ミラノビコッカ大学で訪問研究。⽇本トップレベルの医療AI研究者であり、「みんな健康かつ笑顔で暮らせる社会」を実現すべく、医用画像データプラットフォームを手がける
Callisto株式会社を創業。YouTubeチャンネル『
カリス 東大AI博士』にて、科学的勉強法・科学的思考法・AIなどについて配信中
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