中国の空母に潜入してみた!
中国初となる空母(ウクライナから購入し、現在、修理・改造中)が2012年中に就役することが確実視されているが、中国にはすでに“空母”が存在しているという。しかも、その空母はロシアから購入したものだという。一体、どういうことなのか。
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ただし、野晒し状態のため、劣化がひどく、コクピットの中はペットボトルなどのゴミが投げ込まれていた。しばらく艦内を歩くと、パンフレットで「目玉」として紹介されていたマーチングショーが始まった。しかし、人民解放軍の行進の劣化コピーと言った感じで正直ショボイ……。
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気を取り直して艦内に戻ると、なんといきなりのお土産コーナー。海軍のコスチュームを着た女性が近寄ってきて、数万円もする潜水艦の模型を本気で売りつけようとしてくる。巨大な冷たい鉄のかたまりの中でも衰えることのない中国人の商魂逞しさは、シュールですらあった……。それでも艦内には、まるで生産工場のような魚雷の発射装置や、操舵室、船員室などが当時の姿をとどめておおり、そこに漂う無機質な不気味さが、確かに軍事兵器であったことを彷彿とさせるのだった。
そんなショボい空母テーマパークだが、同地は今、近隣の小中学校の遠足の目的地ともなっており、中国の“国防教育”の一端を担っているようだ。経済的にも軍事的にも勃興を続けるこの国の少年たちは、光と影の歴史を歩んできたミンスクの甲板で日本、そして世界へと広がる海を眺めながら、一体何を思うのだろうか。
【取材・文・写真/ドラゴンガジェット編集部】
ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州を拠点に、最新の話題をお届けする。
香港と隣接し、大型コンテナ船が行き交う広東省深圳市の港湾に、古ぼけた巨大な空母が横たわっている。なんとも場違いな光景だが、なんとこれ、冷戦下にウラジオストクに配備され、日本海に脅威を与えていた旧ソ連太平洋艦隊のミンスクなのだ。
分類上は「キエフ級航空巡洋艦」に分類されるこの艦船だが、 実質的には、完全な航空母艦だ。1978年に就役したミンスクは全長284メートル、基準排水量4万3000トンで、艦体には500キロの射程距離を誇る長距離対艦ミサイル連装発射機4基を搭載している。
また 飛行甲板には、ソ連版のハリアーを目指して設計された垂直離着陸戦闘機「Yak-38」を12機艦載するなど、当時としては最新鋭の装備を誇った。その高い攻撃性能は、 日本にソ連脅威論を抱かせるひとつの要因ともなり、 津軽海峡や対馬海峡付近を我が物顔でうろつくミンスクはたびたび海上保安庁や海空自衛隊、米海軍と睨み合いを演じた。
ちなみに、かわぐちかいじ氏の漫画『沈黙の艦隊』でも、沖縄沖海戦でソ連軍潜水艦隊とともに、このミンスクが独立戦闘国家を宣言する原子力潜水艦「やまと」を包囲し追いつめる姿が描かれている。
現役中は、ソ連海軍の主力艦として名を馳せたミンスクだったが、冷戦が終結してからは、数奇な運命をたどることになる。1992年、ソ連の経済破綻と冷戦終結による軍事費削減から退役へと追いやられ、廃艦としてウラジオストクに係留されていたのが、その後、韓国企業に資材スクラップ用として売却されたのだ。
しかし、さらにその後、買い取りを申し出た香港企業に転売されることに。当時、すでに中国の人民解放軍は空母建設を試みており、その参考にするためだったという疑惑も囁かれた。ちなみに1999年、原因不明の出火により、ミンスクは全焼という憂き目に遭っている。
そして現在、ミンスクは、なんと家族連れが集う軍事テーマパーク「ミンスクワールド」へと変貌を遂げている。火災発生後、放置されていた艦体を中国の企業が買い取り、第二の人生が始まったのだ。ところが運命のいたずらは続き、2005年に運営会社の破産により一度、閉園となっている。しかし翌年、競売にかけられたこのテーマパークは中国の金融グループが買い取り、営業を再開。その落札額は約16億円だったという。取材班は現地へ向かった。
深圳市内からタクシーで約30 分。ミンスクワールドは、日本に脅威をもたらした空母があるとは思えないほど、場末感の漂う遊園地だった。1400円という、この国の物価からすればかなり高額な入場料を払って中へ入ると、超巨大な艦体が目に飛び込んできた。スロープをわたって中に乗り込むと、飛行甲板には旧ソ連・中国産の戦闘機、ヘリコプターがズラりと並んでいる。
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