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3年で「岸田首相より魅力的な党首」は用意できるはずだ/倉山満

マスコミでまるで話題にならなかった代表戦

 しかし、それ以上に問題がある。有効投票数は、わずか1万1054票(馬場8527、足立1158、梅村1140)。あまりにも少ない。  昨年の衆議院選挙と今年の参議院選挙で躍進、期待値が高いだけに、足腰の弱さが気になる。事実、マスコミではまるで話題にならず、ネットメディアですら検索しないと出てこない有様だった。もちろん、野党の党首選が話題になることはない。自民党だって政権失陥した際は、マスコミで話題にならない内に、いつの間にか河野洋平・谷垣禎一が総裁になっていた。  唯一の例外が’12年の安倍晋三を選出した自民党総裁選。あの時は、総選挙での政権返り咲きが確定していたからだ。つまり、野党の党首選に注目させるには、「この党の党首が次の総理大臣になる」と国民に本気で思わせねばならないのだ。  その為に、二つの提案をする。

一つは、党首の名称を「総裁」に変える

 一つは、党首の名称を「総裁」に変える。何度か指摘したが、立憲政友会の設立以来、政権を担う意思のある、やる気のある政党の党首はすべて「総裁」を名乗った。「総裁」を名乗ること自体が、本気で政権を担う意思の表明なのである。ところが、55年体制以降、総裁の名称は自民党の独占物と化した。他の党の「委員長」「代表」「党首」に対し、特別感がある。日本維新の会が期待されている理由が「マトモな野党第一党つまり政権担当能力のある政党が欲しい」にあるならば、隗より始めよ。  党が一丸となって「馬場総裁」を総理大臣にと本気で思う意識が根付けば、組織改革は後からついて来るだろう。

もう一つは、「馬場総裁」を先頭にした全国行脚

 もう一つは、全国行脚だ。「馬場総裁」を先頭に、毎週、全国のどこかで街頭遊説と集会を行う。中身は、総理大臣になったら何をするか。経済政策や安全保障に関して、自民党に頓珍漢な批判を繰り返してきた「いつもの野党」とは違う選択肢があると知らせる。最初は聴衆が少なくていい。目の肥えた支持者がいるとSNSで拡散する。特に、質疑応答などは積極的に拡散しては如何か。  馬場代表は高校卒業後にコックとして就職、苦労人だ。大衆の中に入って行って、国民の声をくみ上げる姿を見せ、「この人を総理大臣にしたい」との声を上げていくことが必要ではないか。そうやって人を集め、党員を集め、金を集め、また人を集め、支持を拡大していく。政党近代化の基本だ。  こうした活動を続けていれば、支える党首直轄の事務局の拡充が必要となろうし、官僚機構に対抗できるシンクタンクがなければ政策論争で太刀打ちできない。
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3年で「岸田首相より魅力的な党首」は用意できるはずだ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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