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「代わる人がいない」という理由だけで、死に体の政権が続く日本/倉山満

労働党を政権担当可能な政党に改革したブレア

 実は、イギリス保守党も日本の自民党のように強い政党だ。19世紀に結党されてから、20世紀まで、すべての党首が総理大臣に就いている。この間、党首の総理大臣就任率100%。日本の自民党より高い。  イギリスの優れたところは、こんな強い保守党に対し、対抗する野党第一党が存在することだ。最近でも労働党は、18年の野党暮らしに耐えた末に政権奪取、13年の長期政権を築いた。保守党は党首が首相になれない、冬の時代に追いやられた。  この立役者はトニー・ブレア。マーガレット・サッチャーとジョン・メージャーの保守党長期政権の前に、「負け犬左翼」の集まりと化していた労働党を改革。党を近代化した上で、政権担当可能な政党に生まれ変わらせた。ブレア時代の労働党は「保守党より保守的」と言われ、安全保障政策では、右寄りが心配されたほどだった。  ブレア改革には専門家からは多くの批判があるが、「負け犬左翼政党」を「政権担当可能な政党」に生まれ変わらせた点は、日本人として羨ましがらざるを得ない。

イギリス憲政には必ず選挙民に二つ以上の選択肢がある

 イギリス憲政は三百年の年輪を刻む。多くの失敗を繰り返しながら権勢を発展させた。成功しては失敗、また立て直し、の繰り返しだ。その長いイギリス憲政において、政権交代が起きる条件がある。経済失政を犯した政権は、退場させられる、だ。  そして、イギリス憲政は、政治の決着は総選挙でつける。必ず選挙民には二つ以上の選択肢がある。  スナクが麻生太郎のように見苦しく居座ろうとも、結果を出せなければ放逐される。  そういうことが必ず起きる。バラ色ではないが、学ぶべき国だ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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