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金融緩和を続ければ、あと少しで景気は完全に回復する/倉山満

「統一」だの「国葬」だの、ド~でも、いい

 最近の岸田文雄内閣は、「統一、国葬、物価高」の三重苦に苦しめられている、と評される。最初の二つは、ド~~~でも、いい。景気が良ければ、日本人は誰も話題にしないだろう。景気が良いとは、働けば給料が上がる状態の事だ。そんな時に「統一」だの「国葬」だの、その他スキャンダルまがいの追及など、世間に相手にされない。
黒田東彦総裁は22日の記者会見で、賃金と物価の安定的・持続的な上昇の実現に向けて「当面(2~3年)金利を引き上げるようなことはない」と金融緩和継続の方針を示している 写真/産経新聞社

黒田東彦総裁は22日の記者会見で、賃金と物価の安定的・持続的な上昇の実現に向けて「当面(2~3年)金利を引き上げるようなことはない」と金融緩和継続の方針を示している 写真/産経新聞社

 疑獄が問題とされる場合は、二つ。一つは長期政権に人心が倦(あぐ)んだ時。安倍晋三内閣末期の検察庁法改正問題は記憶に新しいし、古くは吉田茂内閣末期には造船疑獄が噴出した。もう一つは景気が悪い時。石油ショックの際のロッキード事件然り、バブル崩壊時のリクルート事件や佐川急便事件然り。高度経済成長期に政治家が汚職をしなかった訳ではないが、景気が良いので国民が許してくれただけだ。

もっと円安を進めろ! いっそ1ドル160円を目指せ!

 結局、岸田首相は経済を良くして「統一」「国葬」を吹っ飛ばせば良いのだが、その肝心の「物価高」で見当違いの政策を採りかねないので心配になる。物価高(=インフレ)と円安は双子の兄弟のようなものだ。デフレ・円高の逆である。現在の風潮は、「円安を何とかしろ!」が大勢だが、なぜ? はっきり言う。円安上等! むしろ、もっと円安を進めろ! いっそ1ドル160円を目指せ!  世界の多数派の正統派経済学を述べる。デフレとは、汗水流した商品に対し、通貨が希少なので起こる状態だ。日本は長らくデフレに苦しんできたが、必然的に円高を伴う。  ならば解決策は簡単。お札を刷る。これを金融緩和と呼ぶ。今の黒田東彦日本銀行総裁は、この金融緩和を効果的に進めてきた。2%の物価水準目標に達するまで、無制限の金融緩和を行うと宣言した(インフレターゲット)。これをやると、円の価値は低くなり、円安が進む。そして、人々が汗水流して働いた結晶である商品の価値が上がる。この商品は農作物や工業製品だけでなく、サービスも含まれる。円の価値が下がり、商品の価値が上がる。何が悪い。
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「デフレ脱却前の消費増税」という狂気の沙汰
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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