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W杯日本代表に対する「手のひら返し現象」はなぜ巻き起こってしまうのか

落胆に対する“手のひら返し”は自分勝手なもの

サッカーW杯 日本代表

コスタリカ戦の試合終了後、うなだれる日本代表の選手たち

 また春日氏によると、単なる意見が変わる手のひら返しだけでなく、敗北したときに巻き起こる手のひら返しは、少し違う理由も考えられるという。 「勝てると信じていた相手に敗北したからと誹謗中傷してしまうというのは、負けたという落胆を味わわせられたのみならず、『勝ったぜ!』と盛り上がる機会を提供してくれなかったことへの腹立たしい気持ちがあるからでしょう。『つまんねー奴だなあ。お前のせいで渋谷で騒げなくなっちまったじゃないか』と……。本当に勝手なものですよね」

他の分野でも手のひら返しは起こっていく

 では現代において、こういった風潮は他の分野でも起こり得るのだろうか。春日氏は村上春樹氏を例に挙げ、「手のひら返しの風潮は続いていく」と解説した。 「手のひら返しが巻き起こる風潮は、これからスポーツのみならず、さまざまな分野で蔓延っていくと思います。ノーベル文学賞を獲れない村上春樹を、彼に何の責任もないのにいつしか馬鹿にしはじめるような調子でね」  結果的にPK戦までもつれて敗北を喫したクロアチア戦終了後は、世間的に「感動をありがとう」といった風潮となっているが、「PKが下手くそ」といった、最後まで手のひら返しをやめなかった人も多くいた。  今回、世界的なイベントで改めて浮き彫りとなった、日本人のSNSにおける手のひら返し現象。期待していなかったところから急に盛り上がり始める手のひら返しはともかく、その逆の誹謗中傷が混ざってくる手のひら返しは、選手のメンタル面も考慮して、しっかりと対応していかなければならない。 取材・文/日刊SPA!編集部 写真/日本雑誌協会
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