仕事

元セクシー女優の転職後。“普通の仕事”を経験した後「セクシー女優業」に思うこと――2022年トップ10

フリーランスへの移行、会社との別れ

たかなし亜妖

セクシー女優を経験した後、一般社会の仕事を知ることによって生きる目標をようやく見出した

 シナリオ事件によって、会社の意思決定には従わねばならないことを学んだ私は、言葉に表せぬ窮屈さを感じていた。組織に属しているのだから当たり前ではあるものの、今回のように決定が覆せなかったらどうしていたのだろう?  他にやりたいことも見つからず、興味を持てるポジションもない。徐々に会社に居続けることへの不安が大きくなっていたのだ。社員登用の話も出ていたが、どうも気が進まない。  そもそも自分の気質は野生の動物に限りなく近い。檻の中にいるよりもエサを求めて探し、自由な大地を駆け回っていたい。例え危険に遭遇してケガをしても、自らが招いたのなら仕方がないと割り切ってどんどん前へ進みたいのだ。  ライターとしての仕事も安定し始めていたので、上長との面談で退職の旨を告げる。シナリオ担当は1人しかいなかったため、今すぐ辞められるのは困るとのこと。なので週5勤務のアルバイターではなく業務委託としてゲーム開発に携わり、傍らでライターとして活動する日々が始まった。  しばらくの間は付き合いがあったが、残念ながらこの会社はなくなってしまう。解散する頃には私も顔を出す程度にしか関わっていなかったけれど、心にぽっかりと穴が空いたような気分になった。  今でも勤務した会社には心から感謝している。昼職人生の起点となったとても大切な場所である事実は、ずっとずっと変わらない。

過去を振り返って思うこと

 この連載がなければ、今までの出来事をゆっくり振り返る時間さえ作れなかったと思う。  それにしても自分は破天荒だ。深く考えないにしても限度があるし、シリーズを通して読んでいると全てノリと勢いだけでどうにかしている。我ながら本当に恥ずかしい。  いないことを願うけど、“どうにかなっちゃった”たかなし亜妖を見て、「自分もどうにかなるだろう」とは絶対に思わないでほしい。私は単純に運が良かっただけのナマケモノでしかないので、昼職体験談はあくまで参考程度にすることを強くおすすめする。  見習えば野生のナマケモノでは済まず、本格的なナマケモノになる可能性が考えられるだろう。  また、私はセクシー業界を否定する気もないが肯定もしない。セクシー女優がお昼の仕事へ転職、今では独立していて……なんて、美談にする気は一切ないからだ。  SPA!で連載を始めたのも、しょうもない過去を面白おかしく書いて、エンタメの一つとして楽しんでほしいと思ったから。経歴を明かすのは勇気の要る行為だったが、多くの人が笑って「何だコイツ!」とからかってくれればそれで構わない。最初からその程度にしか考えていないのだから。  私はセクシー女優を経験し、会社、仕事、フリーランスの世界を知ることによって、生きる目標をようやく見出した。  “やっていて苦痛じゃないこと”と消去法で選んだ仕事でもきちんと継続できれば、それもまた一つの道なのかもしれない。  自分は次のステップで一体何をやらかすのだろう。人生は何が起こるか分からない、いい意味の不透明さに胸を躍らせる毎日だ。 文/たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
Twitter:@takanashiaaya
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