更新日:2023年02月17日 19:57
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「強い円」を掲げた速水総裁時代へ回帰か。日銀総裁人事、嵐の予感/倉山満の政局速報

 政府は2月10日、日銀総裁として4月8日で任期満了となる黒田東彦氏の後任に、元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏を起用する方針を固めた。次期日銀総裁人事については、雨宮正佳副総裁に就任を打診したとの一部報道に対し、岸田文雄首相が「観測気球」と述べたばかり。驚きの声も少なくない。今回の日銀人事に対し、「嵐の予感がする」と語るのは、日銀人事の重要性について発信を続ける憲政史研究家の倉山満氏だ(以下、倉山満氏による寄稿)。 日本銀行

日銀人事は日本のすべて

 日銀人事は日本のすべて。ずっと言い続けて追い続けてきた。しかし、凄い人選が飛んできたものだ。  岸田文雄首相は、植田和男東京大学名誉教授を次期総裁として提示すると日経新聞が報じ、他メディアも追随した。  直前に最も多くの人名を挙げていたのが、2月3日のロイターワールド「日銀正副総裁人事 有力候補の経歴や政策観」だった。  そこに挙げられている名前が、雨宮正佳・日銀副総裁、中曽宏・前日銀副総裁、山口広秀・元日銀副総裁、浅川雅嗣・ADB総裁、岡本薫明・元財務次官、木下康司・元財務次官、伊藤隆敏・コロンビア大学教授、氷見野良三・前金融庁長官、内田真一・日銀理事、清水季子・日銀理事、翁百合・日本総研理事長、白井さゆり・元日銀審議委員。  それぞれの経歴とスタンスが簡潔にまとめられている。副総裁の二人はマークしていて、良記事だ。そのロイターの中にも、植田氏の名前はない。まったくのノーマークだ。私も意外だった。

円高誘導政策を推進した、速水総裁の時代に戻そうとの意志

 では、植田氏とはどんな人物か。最近では、黒田日銀に理解を示していると報じられている(日本経済新聞「植田和男氏『日本、拙速な引き締め避けよ 物価上昇局面の金融政策』」)。  この一事を以って、「安心せよ」と言う訳にはいかない。さすがに市場のプロは不安を隠せない。株式市場は閉まっている時間のリークだが、円相場は動き、1円円高に振れた。6日に日経が「雨宮氏に打診」と報じた時には安心感で1円円安に動いたのと逆だ。私は、「雨宮総裁」に警戒せよと説いてきたが、「植田総裁」ならばなおさらだ。  では、新総裁に就任が濃厚の植田氏とは、どんな人物か。一言で言えば、速水優総裁時代の日銀審議委員だ。ポスト黒田で「白川時代に戻してよいのか」との懸念はあったが、生ぬるい。「強い円」を掲げ、円高誘導政策を推進した、速水総裁の時代に戻そうとの意志だ。
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植田和男は良く言えば中庸、悪く言えばカメレオン
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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