更新日:2023年02月17日 19:57
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「強い円」を掲げた速水総裁時代へ回帰か。日銀総裁人事、嵐の予感/倉山満の政局速報

笑いが止まらない日銀と複雑な財務官僚

 さて、副総裁人事だ。  日銀の総裁は5年任期、プロパーと財務省(旧大蔵省)出身者が交互に正副総裁に就く、「たすきがけ人事」が慣行だ。だから日銀では10年に1度の総裁候補は「プリンス」と呼ばれる。雨宮現副総裁がそうだった。その次の「プリンス」は、次期副総裁に推される予定と報じられる内田真一理事。
歴代の日銀総裁

森永貞一郎氏以降、財務省と日銀が交代で総裁を出す「たすき掛け人事」が行われてきた

 雨宮氏が総裁になれなかった事情は今後明らかになるだろうが、一説には本人が固辞したとも。とはいえ、日銀はプリンスの次期総裁の座を確保した。今回、学者出身の植田氏が就いたことで「たすきがけ」は破られたが、植田氏も身内のようなもの。日銀としては笑いが止まらない。  一方、財務官僚にとって、日銀総裁は「ロイヤルロード」と言われる最高の天下り先。現在の黒田総裁こそ例外だが、事務次官経験者の指定席だ。その座を、本流の事務次官を経験していない、傍流の氷見野前金融庁長官にさらわれるとあって、よいのだろうか。

岸田首相は、ここまで愚かと思わなかった

 第一報を聞いた瞬間は「岸田首相は、ここまで愚かと思わなかった」だ。もちろん、カメレオンの本領を発揮して、植田新総裁がマトモな経済政策を行い、日本を救ってくれるかもしれない。しかし、油断は禁物だ。  今後は、政治や経済の情報に敏感になり、生き延びねばならないだろう。  嵐の予感しかしない。  ならば、自らの手で運命を切り開くしかない。  かつては、松下康雄総裁のように、任期途中でスキャンダルによる退陣に追い込まれた総裁もいる。決めつけないで、あらゆる事態に備えることだ。とは言うものの、この人選――白川どころか速水に戻る――には驚いたが。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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