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「路上で石を売っていた」元芸人が、100人のホームレスを取材するまで

「ホームレスに怒られたこと」がきっかけに

――当時、印象的だったことは? 青柳:35歳の頃、お金持ちの運転手として路肩に車を停めて待機していた時、路上でゴミを漁っているホームレスの姿が運転席から見えたんです。寒さの厳しい時期だったので、気の毒に思ってふとチョコレートをあげようと思ったんです。ところが、車を降りて声をかけて手渡そうとしたら、ものすごい剣幕で怒鳴られてしまった。 薄っぺらい同情心を見透かされたのだと今は思いますが、その時はなんで怒られたか、よく分からなかった。なぜ怒られたのかを知りたいという気持ちがずっと残り、この経験がホームレスの方々へのインタビューを始めたきっかけになっています。

「父の死」がすべてを変えた

――お笑い芸人に区切りを付けることにしたのは、どうして? 青柳:36歳の時に親父がガンで亡くなったんです。ちゃんとした姿を何も見せられなかったと思うと、自分が不甲斐ないし情けなかった。母親の時は同じ思いをしたくないなと思って、それでスパッと芸人を辞めて正社員になり、23歳から付き合っていた彼女と結婚することにしたんです。 当時、芸能事務所でアイドルたちの活動を支えるアルバイトをしていたので、そこで社員として働かせてもらうことにしました。事務所は辞めましたが、コンビは解散せずに今もネットラジオだけは活動を続けています。
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多摩川で拾った石を売っていた
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