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「路上で石を売っていた」元芸人が、100人のホームレスを取材するまで

多摩川で拾った石を売っていた

――会社員生活はどうでしたか? 青柳:働きながらも何か面白いことをやりたい気持ちがあって、河原で拾った石に値段つけて路上で販売したりしました。ちょうど仮想通貨ブームの時期だったので、ビットコインでいけるなら河原の石だっていけるだろうと。みんなが価値を認めれば、何だって価値が生まれるハズだと思ったんです。 それで多摩川で石を拾ってきて、これは人の顔に見えるから「人面石」、スマートフォンに見えるから「スマホ石」という具合に、適当に名前をつけて売ってみたんです。一応作戦も考えて、一つメチャクチャ高い60万円の商品を作ったんです。馬に似ているから「赤兎馬石60万円」みたいな。その横に1000円の石を売ったら、安く見えて売れるんじゃないかと。 最初は府中で売っていたんですが全然売れなかったので、原宿に行ったんです。歩道の段差部分にブルーシートを敷いて並べたんですが、結局1個も売れなかった。少しでもちゃんとして見えるように、スーツまで着て行ったんですが。 余った石をどうしようかなと思って、試しに絵を描いてみたんです。100円ショップで油性マジックを買って自分で石にイラストを描いて並べたら、ソッコーで2000円で売れたんです。買ってくれた外国人観光客から「この石は友達のトムに似ている」とか言われて。 ただ、そのうち警察から注意され、「二度とここで石を売りません」という誓約書を一筆書かされてしまった。やむを得ずネット通販も試したんですが、石は送料が高すぎて上手くいきませんでした。

毎月1回「風呂場で除霊する」

――かなりシュールな活動でしたね。 青柳:しかも、その後は石の霊に取り憑かれてしまったんです。嫁と子供に高熱が続いておかしいなと思った時に、沖縄の霊媒師であるユタの末裔を自称する友人に見てもらったら「石の霊が腰に1人、肩に3人乗っている。勝手に石を持ち運んだせいで、石の怒りが家中に充満している」と。それで友人に除霊の方法を教えてもらい、どうにか調子が元に戻りました。 除霊というのは、鍋に湯を沸かして伯方の塩を大量に溶かし、浴びられるギリギリの温度になったら風呂場に持っていき、手を合わせて「石の霊さん、僕から離れてください」と言って頭から浴びるんです。今も毎月1回やっています。
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続けるためにも「再生数を気にしない」
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