更新日:2023年06月20日 01:08
恋愛・結婚

「薬漬けの母」「愛人宅に入り浸る父」…複雑な家庭環境で育った女性と結婚した結果

 男女に駆け引きはつきものだが、ときに罠や落とし穴の類ではないかと思える愛憎劇が繰り広げられることもある。 「いまだに何が目的だったのか、よくわからないんですよね」  そう首を傾げるのは、自営業の遠藤武士氏(仮名・30代後半)だ。山の手に代々続く土地を持ち、品の良さを思わせる立ち居振る舞い。万人受けするイケメンではないが、不快に感じる人は皆無であろう爽やかな顔立ちをしている。
夫婦

画像はイメージです

元妻は大学時代の後輩

 遠藤氏には、離婚歴がある。冒頭の言葉は、元妻に関するぼやきだ。氏はいわゆる“お坊ちゃん”育ちで、名家には珍しく親戚関係も良好。幼い頃から、長期休みは親族と軽井沢の別荘で過ごすほど親密だったという。自然と、金銭を狙った女性からのアプローチも多かったが、「そういう人間を見分ける方法はあるので相手にしません」と断じる。 「ちょうど親戚に不幸があり、かなり精神的に参っているとき、大学時代の後輩であった元妻が飲みに誘ってくれたんです。元妻は仲間内ではムードメーカー的存在として知られ、顔はお世辞にも可愛いとは言えないのですが、気配りができる子だなという印象でした」

プロポーズの際に複雑な家庭事情

 遠藤氏はこうして、元妻・岩井夏子氏(仮名・当時20代後半)に惹かれていった。夏子氏はどんな話でも丁寧に聞いてくれ、「波長が合う」という印象が「これは運命だ」に変わるまで、時間を要しなかった。 「プロポーズまで半年くらいだったと思います。大学時代の仲間からは『面白くていい子だけど、顔と体型はストライクゾーンから5km遠い(笑)』なんて言われましたが、当時はそんなこと気になりませんでしたね」  写真を見る限り、確かに夏子氏の体型はふくよかで個性的な顔立ちだが、愛の障壁になるはずもない。加えて、プロポーズの際に夏子氏の苦悩を聞いたことが、遠藤氏をさらにのめり込ませた。 「これまで聞いたことがない、夏子の家族のことをたくさん聞きました。お父さんはある地方の警察官ですが、酒と女でしょっちゅうトラブルを起こしていました。お父さんと住むようになったのは高校生くらいからで、それまで父親を家のなかで見たことがないというのです。愛人宅に居ついていたらしいんですね。  だから中学生くらいの頃の夏子の家は、かなり雰囲気が暗かったようです。夫の不貞によって精神が不安定だった母親は、通学から帰る夏子を待ち構えていて、色んな錠剤を大量に飲み込むのを見せつけたとか」
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義父母は「意外と普通の人だった」
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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