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「国へ帰れ」過熱する外国人ヘイト、入管職員による暴行…このまま新・入管法を施行していいのか

過熱するヘイトスピーチ

改正入管法が成立したあたりから、特に、クルド人をネットで誹謗中傷する投稿も相次いでいる。 クルド人は“国を持たない少数民族”としてトルコなどで弾圧され、迫害を逃れて、世界で約5万人が難民認定されている。そんな背景さえ知らずに、「国へ帰れ」などと言うヘイトスピーチが過熱する一方だ。 2023年8月に当時の法務大臣が、日本生まれの子供約140人とその家族に在留特別許可を出す方針を発表し、それに該当する子供たちは歓喜した。だが、12月になっても在留許可が出たという声をほとんど聞かない。

学校で「国に帰れ」と言われる子どもたち

日本生まれでトルコ国籍のクルド人・Aさん(高校1年生)は、トルコ語もクルド語もできない。友達も食事も文化もトルコのことはわからない。食道の病気を持っていて手術も受けたが、健康保険証がないため医療費負担が700万円を超えている。バイトをしたいが仕事できないでいる。 「私も普通の人間だし、みんな血は赤いはず。何もしていないのにSNSで批判されるのは辛いし、どうしたらいいのかわからない。でも友達は何も言わないでくれる。親友とずっと一緒にいたい、強制送還しないでほしい」 Aさんは日本生まれだが、父親が偽造パスポートで来日しているため、今回の在留資格に該当するかわからない。偽造パスポートであっても、「庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない」(難民条約第31条)という規定があるのだが…。 中学一年生のクルド人・Bさんも日本生まれだが、ずっと健康保険証がない。最近40度以上の高熱で救急車に運ばれたが、治療費が2万円近くかかった。母子家庭なので生活は大変で、母親も通院していて払えていない治療費もある。母親のためにもこの状況を何とかしたいと語る。 「学校に行くようにしているけど、差別されていて、国に帰れと言われる。教室に入れないで相談室にいる。辛いです。子供だけじゃ変えられない。入管は何を言っても変わってくれないから大人に頑張ってほしい」(Bさん)と訴えた。
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日本人でも声を上げる人たちが
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おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)、入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)

ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄”~

非人道的な入管の実態をマンガでリポート!


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