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「国へ帰れ」過熱する外国人ヘイト、入管職員による暴行…このまま新・入管法を施行していいのか

学校で先生に「私たちにも人権はありますか?」と聞いたら…

義務教育は受けているが、日本生まれではなかったために今回の在留資格には該当しない、クルド人の高校生の姉妹がいる。日本に来て9年間は半年間の特定ビザがあったが、あるとき家族で入管に呼び出され、在留資格を失った。 「今、学校で自由権を学んでいる。だけど自分にはない。入管の許可がないとどこにも行けない。『私にも人権がありますか?』と先生に聞いた。『決まっている法律は変えることはできない』と言われて納得できなかった。在留カードがあるかないかで決められているだけ、日本人に生まれていないだけ。保育士という夢があるから学び続けたい」(高1の妹) 高2の姉は、看護師を目指している。大学を卒業して看護師資格を取り、ビザを取ることを考えている。

日本人でも声を上げる人たちがいる

苦境に置かれた外国人に対して、支援の声を上げる日本人市民たちもいる。
左が笠置さん、左から二番目が佐久間さん

左端が笠置さん、左から二番目が佐久間さん

毎週金曜日、“入管法改悪反対アクション”を高田馬場駅前で行っている佐久間雅子さんは、「子供たちがこのように訴えているのに、大人がそれに応えられていない。私たち大人は子供たちを守る責任がある」と語る。 笠置英史さんは、新・入管法が成立した後も毎週月曜日、品川駅の入管行きバス停で「朝のあいさつ運動」と称し、入管法に反対するスタンディングしている。 「朝はしんどいけど、当事者の人たちはもっと大変です。この行動は、あなたたちの味方だということを示すのと、入管職員に対して“見ていますよ”という意思表示でやっている。採決されても諦められるわけがない、人の命がかかっている」(笠置さん) 新・入管法の施行を止めるために、より多くの人に声を上げてほしいと訴える。

川口市民からも、クルド人ヘイトに抗議する声

また、川口市在住の米山功治さんは、クルド人が多く住む川口市が「危ない街」のようにネットで大袈裟に言われていることに異議を唱えている。 「今、川口市に暮らすクルド人へのヘイトが酷すぎる。ついには『自警団メンバー募集中』という書き込みまで出てきた。ネットで『クルド』を検索すると、ヘイトスピーチだらけで、地獄絵図です。クルドの子どもたちのためにも、なんとか事態を打開したい。事実は違うということをメディアに広めていってほしい」(米山さん) 大人は、子どもたちの声にどこまで答えられるだろうか。ただ、ビザを取って働きたい、健康保険証が欲しい、普通に生きたい。これは贅沢な望みなのだろうか?   新・入管法施行まであと半年あまり。問題山積のなか、果たして、このまま施行していいのだろうか? <文/織田朝日>
おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)、入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)

ある日の入管~外国人収容施設は“生き地獄”~

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