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「自己破産して家も引き払いました」カラオケや居酒屋で夜を越す40歳男性、生活保護を受けられなかったわけ

上野公園で暮らして数十年の高齢ホームレス

[家なき中年]の肖像

横川和夫さん(仮名・70代)

 空っ風が肌を刺す1月の上野恩賜公園。ここに数十年にわたって住み続けているという横川和夫さん(仮名・70代)は、「誰かと話すのは久しぶりで嬉しいよ」と、昨今のホームレス生活事情について気さくに語ってくれた。 「上野公園に住んでいる人は全盛期には20人くらいいたけど、みんな死ぬか散り散りになって今は4人だけ。たしかに最近新しい人をちらほら見かけるけど、ここでは皇族が訪れるたびに『山狩り』が行われて行政の人に出ていけと言われるからホームレスには厳しいところだよ。最近は宗教の勧誘なんかも多いかな」  なぜか最近は宗教の勧誘が多いと首をかしげる。「勝手に死後は地獄落ちなんて言われると気分が悪くなるよ」と話す。

昨今の物価高はさまざまな人に影響が

 昨今のインフレは、横川さんの生活にも少なからず影響を与えている。 「自販機飲料の値段まで上がっちゃってサ。ゴミも減ったから空き缶集めの実入りが悪くなって大変だよ。それに、最近は円安で態度の大きいチンピラ外国人が上野公園を闊歩してる。たまったもんじゃない。俺が子どもの頃の1ドル360円の時代に戻ったみたいだよ」  横川さんはかつて大企業に勤めていたが、脳の病気で職を失ってしまったのだという。 「あのとき死んでいればって何度も思ったよ。いろいろあって母とも絶縁した。でも、もし生きていたら心配をかけるから、顔や名前は出さないでくれよ。もう会うことはないと思うけど」  人は住む家を失ったからホームレスになるのではない。人との関わりこそが大切だ。 取材・文/週刊SPA!編集部
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