更新日:2024年02月14日 14:41
ライフ

「ユニクロの品質は劣化した」と思い込んでいる人が理解するべき“たったひとつのこと”

「服の質」は原価で決まるわけではない

ユニクロ ただ、「ユニクロの品質は実際上がってるんだから、ガタガタ文句ぬかすんじゃねえ」とは思いません。耐久性が下がってそれに対して不満足を感じている人が多いのも事実ですから、ユニクロはそれを受け止めてどう開発に活かすか、商品説明やケア方法などをどう変えていくかなど考えていくべきでしょう。  商品の質を決めるのは原価ではありません。素材が希少品だ、高額な原材料だ……商品の良し悪しがそれで決定されるならこんなに簡単な話はありません。  たとえば、ワークウェアの代表格カーハートのTシャツに、プレミアムなシルクの素材を使ったらかっこよくなるかと言われたら、そんなこともないですよね。ワークウェアは安価であろうとガッシリとしたコットンのほうがかっこよく見えるわけだし、高額な素材を使うほど原価をかければかけるほど良品になるとはまったく思いません。  モノの完成度は「適した素材と適したデザインと適したシルエット」によって決まるわけですから、成金根性でなんでもかんでも高価なもので集めればおしゃれになるなんてそんなワケないでしょう。  全身希少素材であるはずの六本木の成金社長は総じてダサいでしょ? でも、お金がないはずの貧乏ショップスタッフが輝くほどかっこよく見えるのはどうしてでしょう。

耐久性と見た目の美しさは反比例することが多い

 高価な素材、希少な素材は確かに重要ですが……それをどうデザインに当てはめていくか、それをどう顧客にとって価値あるものとして表現するかが服作りの肝だと思います。その意味でユニクロは確かに高級素材を使って、今まででは考えられないほどの価値を提示できてると思いますが、それが十分に顧客に伝わってるかどうかは疑問です。  むしろワークマンは「耐久性と機能性ならウチは負けない!」と正しい打ち出し方をして、安い原材料であろうと顧客に対して高い価値を作り出しているとも思います。風合いはユニクロに劣りますが、価値の打ち出し方がわかりやすく戦略としては正しいなと。  日本人はまだ洋服に対するリテラシーが十分には備わっていません。「高級品ほど長持ちする」とも思いがち。耐久性と見た目の美しさは案外反比例することも多いのです。 「ユニクロの品質は劣化している」というのも理解できなくはないですが……ちょっとそれだけだとユニクロがかわいそうな気もしますね。トップデザイナーを使ったコラボだったり、他ブランドが使えない高級素材だったり、価値のある商品を作り出しているのは確かです。  ぜひ服を見るときの参考として、これらを頭に入れておいてください。また見え方が変わってくるかなと思います。
MB
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag

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