「シングルマザーはだらしない」という心無い声も…物件を契約できない“住宅弱者”の実態
障害者やシングルマザー、高齢者などのように、物件を契約することが難しい人々を“住宅弱者”という。家賃を安定的に納められる経済力があるのか疑問視されているという点では、社会的弱者とほぼ同義かもしれない。ただしこれらにくわえ、住宅弱者には外国人なども含まれる。
神奈川県伊勢原市シングルマザーのシェアハウスを運営するめぐみ不動産コンサルティング(神奈川県伊勢原市)の創業者・竹田恵子氏は、その業務の幅広さから「社会課題解決型不動産屋」を自負する。貧困問題と空き家問題、現代日本の課題に社をあげて取り掛かる姿に迫った。
いわゆる住宅弱者への視線は厳しい。経済力という指標に加えて、バイアスも少なからずあるのだと竹田氏は言う。
「今は『とりあえず内見』をしてからお断りすることがほとんどですが、昔はかなり露骨に借りられない理由を伝えていたと思います。それこそ『障害者には貸せない』と大っぴらに言う大家さんもいらっしゃいました。偏見も良いところなのですが、かつては『シングルマザーはだらしない』と言って憚らない人もいたくらいです。
現在は表面上そうしたことがない代わりに、とりあえず誰でも一旦内見をさせてみて、体よくお断りするんです。これは、見方によっては残酷ですよね。夢を見させておいて、実際に入居できるのはそれなりの物件なわけですから」
ただ、ビジネスで物件を貸している大家の側から見れば、納得できる部分もあるのだという。
「話を聞けば、たとえばシングルマザーの方に入居していただいたのに家賃を支払わずに夜逃げされていた過去があったり、言い分が理解できることもあります。また、断ることが決まっていて内見させるのも、意地悪でやっているのではなく、そうしたプロセスを踏むことで恨まれたりするのを防ぐ効果もあるんです。
誰しも自分の生活をかけて事業をしていますから、信用できない人に物件は貸したくないですよね。私も、大家さんに紹介する際、『何かあったら責任取ってくれるわけ?』と厳しく聞かれたことがあります。当然、弊社では紹介する人物は精査しますし、踏み倒すのを前提に借りようとする人はお断りしています」
「シングルマザーはだらしない」という声も…
大家の言い分も理解できるからこそ…
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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