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東大生がイチオシ。「子供が成長する」夏休みの課題図書3選

『坊ちゃん』

『坊ちゃん』

『坊ちゃん』(新潮文庫)

 夏目漱石の名作は数あれど、特に私が好きなのは『坊ちゃん』です。初めて手に取ったのは、小学校5年生の時でした。あの頃は、本を読むことは好きでしたが、もっぱら小学生向けファンタジーばかりを読んでいて、現実世界が舞台になった話を好きになることができずに終わってしまいました。  それから数年、高校生になってから改めて手に取った『坊ちゃん』の面白いこと! この作品のすばらしさは、若いうちにはわからないのかもしれません。高校生になって、色々な人とふれあい、様々な経験をしたからこそ、楽しめるようになったのでしょう。  竹を割ったようなさっぱりした性格の「坊ちゃん」が、様々な事件を痛快に乗り切っていく様子が、見ていてとても気持ちがいい。うっとおしい人間関係に悩んでくさくさしている自分が、なんだか馬鹿らしくなってくるようです。  今回は、高校生向けの小説として紹介していますが、もちろん大人が読んでも面白いこと間違いなし。青空文庫で無料で読むこともできますから、ぜひ手に取ってみてください。

『成瀬は天下を取りに行く』

 
成瀬は天下を取りにいく

『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)

 古い作品ばかりが続いたので、新しい作品を。『成瀬は天下を取りに行く』は宮島未奈氏による小説作品で、中身はいくつかの短編のオムニバスとなっています。 「成瀬」という女子学生が主人公の作品群で、どれもこれも、成瀬の自由奔放、破天荒な一面を楽しめるものになっています。  先日、本屋に行った際に激押しされていたことから、なんとなく手に取った本作ですが、高校生にとっても読みやすく、面白い小説になっていると感じます。  主人公の成瀬は、自分のやりたいと感じたことを、周りの目を気にせずに初志貫徹、やり通してしまう人物として描かれています。これだけを見ると、「イマドキの子」と感じる方も多いのではないでしょうか。  ですが、そうではありません。私は、成瀬こそ、「イマドキの子がなりたいと感じる姿」を描いていると感じています。  高校生というのも、案外難しいもので、クラス内やグループ内の人間関係を気にしてやりたいことができないなど、微妙な政治的側面を持っています。私が出入りしている学校でも、「○○大学を志望校にしたいけれど、周りの目を気にして言い出せない」なんて子もたくさんいます。  そんな中で、やはり「自分のやりたいことをやりたいといえる」人物は、憧れとなっているように感じます。自分の意志に正直に生きることの困難さを痛いほど知っている、現代人であるからこそ、この小説は刺さるのではないでしょうか。  最近は、人気ウナギチェーンの「鰻の成瀬」ともコラボをするなど、積極的に展開している本作。きっと街中で目にする機会も多いでしょう。気になったら、ぜひ一度読んでみてください。

大人も十分に楽しめる作品ばかり

 高校の読書感想文で取り上げられるような本は、どれも大人の視線による鑑賞にも十分耐えうる名作ばかりです。当時を懐かしみながら、あるいはまだ見ぬ名作に心を躍らせながら、時には読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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