更新日:2024年10月16日 11:27
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4割が“赤字”経営…「美容室」の倒産が急増。節約志向の高まりで客単価減の現実

固定客が支えていたかつての美容室

美容室でのヘアカラーリング

※写真はイメージです。

 かつては美容師の指名制で固定客を抱えていた美容室。今は、お客さんの店を選定する基準が厳しく、①低価格、②仕上がりの良さ、③店の雰囲気と接客が決定要因らしい。固定化が難しく、流動的なお客の確保に知恵を絞っているようだ。  カットやカラーなどで滞留時間が約1.5時間かかるだけに店の雰囲気も重要だが、やはりいかに安く済ませるかが重要で、お客は予約サイトやアプリで割引率や付加サービスでお得感あるクーポンを探すのに必死のようだ。  美容師を指名する際、指名料金が必要か否かも店の選択に重要な要素だ。美容センサス(2023年度)によると、美容室における女性客の単価は前年と横ばいで7293円、年間利用回数はコロナ禍から回復の兆しがあり、4.32回となっている

収入減で美容師の現状も厳しい

 美容師の現状も厳しいようで、思うような収入が得られていないのが実情だ。美容師と雇用契約を締結しない美容室も多く、船井総研の調査によると美容師のフリーランスは全国で8万人(2020年)。美容師全体の人数が約54万人だから、約15%の美容師がフリーランスである。  しかし、フリーランス美容師のほとんどはコロナ禍の売上急減で苦しんでいるように思える。筆者が支援をしていたある方は、確定申告書を拝見したが、その収入の少なさに驚愕した。仕事が激減したために生活費用が捻出できないくらいに収入が減った窮状を目の当たりにした。  美容院の倒産だけでなく、フリーランス美容師の廃業も深刻な問題だ。ある男性美容師は、老人ホームへの出張サービスや訪問カットで何とか生計を立てているが、先行きの不透明感から不安で仕方ないと嘆いておられた。
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美容業界の人手不足は常態化
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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