更新日:2024年10月16日 11:27
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4割が“赤字”経営…「美容室」の倒産が急増。節約志向の高まりで客単価減の現実

美容師不足解消に大手の取り組み

女性のヘアカットをする美容師

※写真はイメージです

 人手不足で機会損失の発生に苦しむ美容室業界。今後、好待遇を求めて労働環境が整った店舗に人材が集まると予測されるから早急に改善しなければならない。一例を挙げると、10分間の身だしなみをキャッチフレーズに、全国展開する理美容所でもあるヘアカット専門店「QBハウス」(キュービーネット)。  スタイリスト3000人以上を有し、それらを原動力として、最大店舗数691店舗(国内563店舗)、ヘアカット専門店市場1位、総合理美容市場1位を誇っている。業界に革新的サービスをもって参入し、1998年、ニュービジネス大賞も受賞している東証プライム上場企業だ。  同社も、昨年未払い残業代を請求される裁判を提訴されたり、使用者責任で疑義が生じる行為をしていたとして、違法性を指摘されている(問題があったのは直轄店ではない、業務委託店)。それらの反省を踏まえ、今は、スタイリストのやりがいの創出を目的に、能力・意欲の喚起と納得する賃金・労務システムの改善に向け、注力しているとのことで、改善効果を期待して見ていきたい。  劣悪な労働環境がイメージされる美容業界で、適正な労務管理が徹底されない個人経営店はますます美容師不足が顕著となり、存続が不可能になるかもしれない。労働環境改善への真摯な取り組みをアピールし、ぜひとも人への投資に力を入れる店にしていただきたい。

美容室の倒産・廃業が多い訳

 美容室の倒産が増加する理由としては、経営に対する美容師の知識不足も一因にある。技術があれば繁盛するという時代ではない。いかにお客さんを集め、サービスに対する満足度を高め、再来店を促す一連の業務プロセスの価値向上が大切だ。  ストアコンセプトを明確にし、戦略と管理の一体的推進による経営力を徹底しなければならない。最近は集客と予約方法も進化しており、インスタグラムのDM機能を有効に活用し、予約もアプリやラインを活用する流れになっている。  美容師の提供価値は目に見えない無形であり、また、外観だけではイメージできない店内雰囲気やスタイリストの技術力・接客力をアピールするためにも、インスタグラムは必須だ。それを効果的に活用しなければ集客力は強化できない。
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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