アジアに拡散されて香港のCM出演が決定
――料理動画がバズって変化はありましたか?
元木:日本はもちろんですけど、アジア圏ですごく見てもらえているようで「キムタクに似た男が変な料理を作る動画がある」と香港のネットニュースになったんですよ(笑)。
それがきっかけで、香港のフードデリバリサービス『Deliveroo』のCMにも出演が決まりました。こんなことが起こるんだとびっくりしましたね。
――CM撮影はいかがでしたか?
元木:最初はドッキリだと疑っていましたよ(笑)。でも現場に入ったらちゃんとスタッフも大勢いて機材もあるし、ガチだと信用できました。広東語と英語だけが飛び交う中で必死に撮影に臨みました。それも反響があって、他にもアジアの仕事もいただけるようになっていますね。
――では本格的にアジア進出も考えている?
元木:目標の一つではあります。でもモノマネをしている僕が起用されるということは、やっぱり香港とか台湾で木村さんの人気が絶大だというところが大きい。改めて木村さんの凄さとかカリスマ性を感じています。
――元木さんがキムタクモノマネをするうえでこだわっていることは?
元木:出演作やCMを見てポーズや仕草も研究していますけど、一番は衣装ですね。コートやジャケットはもちろん、ドラマ『プライド』でアイスホッケー選手の役をされたときはアイスホッケー衣装を40万円ぐらいかけて揃えました。
映画『レジェンド&バタフライ』で織田信長を演じていたときは、信長っぽい着物やカツラなどを用意するのに60万ぐらいかかりましたね。これまでの衣装代だけで総額300万円は使っていると思います。
だから、新しいドラマに出演されるのは楽しみなんですけど毎回衣装を気にしています。宇宙飛行士役にすることになったら、いくらかかるんだろうとか(笑)。コールセンターのバイトをして補填することもあります。
――モノマネ芸人の枠を超えたこだわりですね。
元木:似せたいという思いよりは木村さんのようになりたい、近づきたいんですよ。僕の場合は木村さんのモノマネをしているというよりは、木村さんのコスプレイヤーという認識が近いかもしれないですね(笑)。だから衣装代にお金がかかっても平気です。
――キムタクモノマネ芸人は他にもいると思うんですが、ギスギスはしていないですか?
元木:ホリさんとか松村邦洋さんを中心に、今も木村さんのモノマネをする人が増えていますけど、しゃべりが似ている人や歌が似ている人、外見が似ている人といった具合にモノマネのタイプが別々なので、ギスギス感はないどころか仲良しですよ!
同じ現場になることも多いので、僕が持っている衣装を貸したりしています。ライバルというかみんなで“キムタクモノマネ業界”を盛り上げようって感じです。
――最後になりますが、今後の目標を教えてください!
元木:40代になって、若い頃のような焦りもないので気長にやっていきたいです。最終目標は、70歳ぐらいのおじいちゃんになっても外ハネロングヘアーのカツラを被って「俺はキムタクだぞ!」って言い張って生き続けたいかな。
キムタクに憧れている名物おじいちゃんみたいな存在になっていたら最高です(笑)。
【元木敦士】
‘83年、香川県出身。木村拓哉のモノマネを得意とする芸人としてSNSをきっかけに人気沸騰中。EXILE TAKAHIROのモノマネ芸人・松本和也とお笑いコンビ「キムザイル」として活動するほか、『六本木ものまねハウスSTAR』のステージにも出演している。
<取材・文/瀬戸大希、撮影/市村円香>