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「息子の学費は返済義務のある奨学金なので、申し訳なくて…」子ども2人の教育費に頭を抱える50歳女性。塾代や学費が“生活苦”を招く現実

大学の自助努力や個人の負担に甘えてきたせいで…

一億総生活苦の正体

9月、東大が授業料を約11万円引き上げることを決定。学生有志は署名を募るなど、反対運動を展開した(写真/時事通信社)

日本の公的支出に占める教育費は約8%と、先進国の中で低水準にとどまる。 「日本の大学運営は、学費で賄う私学の経営モデルに依存してきました。親も『教育にお金をかけることは美徳』と、それを受け入れてきたのです。つまり、大学の自助努力や個人の負担に甘えてきたのが、日本の高等教育システムということ。その裏に潜む政策の矛盾は温存されてきた」(同)

文科省の責任は重い

所管官庁の文科省の責任は重いと言わざるをえない。 「文科省は国際文書に日本の奨学金を『student loan』(学生ローン)と記しているように、大学運営の資金を個人に頼っていることを自覚している。だが、事態は悪化する可能性が高い。今後さらに少子化が進めば教育への関心は薄れ、増加する高齢者への社会保障が優先される。学費の高騰は避けられないでしょう」 大学までの教育が無償化されなければ、生活苦は続くだろう。 ▼生活苦の正体 大学と親に依存するシステムを看過してきた文科行政の怠慢 【教育社会学者 中澤 渉氏】 大阪大学大学院人間科学研究科教授などを経て立教大学社会学部教授。著書に『なぜ日本の公教育費は少ないのか』(勁草書房)など
一億総生活苦の正体

教育社会学者の中澤渉氏

取材・文/谷口伸仁 写真/PIXTA 図版/ウエイド ※11月19日発売の週刊SPA!特集「一億総生活苦の正体」より
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週刊SPA!11/26号(11/19発売)

表紙の人/Devil ANTHEM.

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