休業中に「オーラがなくなった」引退作のつもりが“復帰作”に

――そして2023年より復帰。正直、そのまま引退されるのかと思っていました。何かきっかけがあったのですか?
「引退するならハッキリと言わなきゃいけないとは、ずっと思っていたんですよ。3年経った時点で私、容姿が完全に衰えてしまっていましたから。
休業中も同人誌即売会には出ていたのですが、ファンの一人から『
オーラがなくなった』と言われるようになったんです。セクシー女優として容姿が衰えたのであれば、引退は当然のように頭をよぎりますよ」
――表舞台に立たなくなると、演者の輝きは薄れていくものなのですね。
「私は休業中もずっと髪型を黒髪ロングで固定していたのですが、辞めるなら変えたいと考えていたので、
『髪切りたいから引退したい』と事務所に言ったんです。そしたらマネージャーが仕事を取ってきたんですよ。結果的にそれが復帰作になりました(笑)」
――その後、モチベーションは上がりましたか?
「それがぜんぜん。盛れなくなったというか、どんなに頑張っても自撮りが決まらないし、撮影中に照明を作るのもスタッフが大変そう。しかも、オファーも決して多いわけではない。これは自分の魅力の無さが原因なのか?とかなり落ち込みましたね。
でも、
デビュー10年以上ともなる熟女がコンスタントに仕事をもらい続けるって、本当に難しいことなんだと思うんです。レジェンドと呼ばれる女優さんでも厳しいと言われている世界なのに、私クラスではどうしたものかな、と」
――復帰後も思い悩むことが増えていった。
「去年の夏には、
本当に心が折れかけたことがありました。監督も男優さんも馴染みの人たちだったのに、ものすごく痛かったんですよ。こんなことって初めてで、すごく動揺しました」
――それは、年齢的なことが関係している?
「慣れないシチュエーションでの撮影だったので、力が入りすぎていたのもあるかもしれません。でも、メイクさんから本気で心配されるくらいの状態になってしまって……。これはもう、女優としてはダメなのかもしれないと覚悟したんです」
――プライベートでも痛みを感じることはなかったのですか?
「プライベートはもう数年単位で清らかなので(笑)。もうこの年になると、2ヶ月に1回くらいの撮影では痛みはある程度は伴ってしまうのかもしれません。別の作品でも、温泉に2泊して撮影したら蕁麻疹が出てしまったり……
無理が利かない年齢になったということですね」
――それでも、未だに引退の道を選んでいないということは。
「純粋に作品づくりを楽しいと感じているし、何より現場は熟女にとても優しいんですよ。だから、
撮影するたびに『まだいけそうな気がする』って気持ちになります。私は撮影が好き。すべてはそれ在りきなんですよ。だから、今は誰も見なくなってから辞めればいいじゃんって考え方になりました」
――少しでも需要があれば、続けていきたいと?
「正直な話、復帰した時くらいから、人気女優を目指す野心を失っていたんです。私は人気女優さんが惜しまれつつ引退する姿に憧れを抱いていたので。でも、
やっぱり自分が続けたいと思ったら、続けることに意味があるんですよ。だから、まだ現役でい続けたいと思います」
――ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>