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自分の心の中にある仏様を生みだす“写仏”に挑戦

― ブームの[仏教プチ修行]をやってみた!【3】 ― 不安の多い世相の表れか、休日に仏教の修行体験を行う人が急増中! 信仰していなくても参加でき、手軽なストレス解消法としても大人気な“プチ修行”を厳選し、紹介する 【写仏】 体験したお寺:単立(浄土宗系)長谷寺(神奈川・鎌倉) ◆初心者もできる写仏は近年に始まる

美しく描けなかったと肩を落とす記者に、「一本一本の線が観音様だと思う気持ちのほうが大事。美しく描かなくてはと堅く考える必要はないんですよ」と寺務の方。仕上がりには性格が表れるのか仏様への思いが表れるのか

写経が般若心経など文字を書き写すのに対し、仏様の絵を描くのが写仏。写経に比べると歴史は浅いとか。 「かつては、仏教を熟知して、かつ絵の達者な僧侶が仏画を描いていました。厳格な師弟関係の下で仏様の画を描き、それはお寺に納めて、信仰の対象に。ですから、仏画を描くことは襟を正さないと描けない敷居の高い行為だったのです。それが近年は写経ブームで誰もが般若心経を書くように。一方で絵のほうを好む方も増え、初心者でも取り組みやすい“写仏”が誕生したのです」(桝田英伸僧侶)  鎌倉の長谷寺は初心者でも本格的な写仏を体験できることが特徴。まずは手水舎で手を清めて道場に。阿弥陀様が鎮座する和室には、書道具が置かれた長机が整然と並ぶ。さて、写仏用紙の下絵を見て軽く慄く記者。観世音菩薩を構成する何百本もの曲線と細かい数珠の絵……。仏様の全身のお姿をこの手で生みだすのに2時間以内で終わるのか? 不安が頭をよぎる。 ◆自分の心の中にある仏様を生みだす  字も絵も下手な記者であるが筆で流線形をなぞるのはすいすいできた。が、30分ほどすると、「目が近づきすぎですよ! あくまでも自分の仏様を完成する心構えでお描きください。自然と姿勢も正されますよ」とのご指摘が。細かい線に集中するあまりひどい猫背になっていたらしい。 「仏様のおみ足、仏様のお目。下絵のよりずれたら失礼だ!」緊張感と畏怖の念を持って描き進めること1時間余り。いざ描いてみるとそれまでなんとなく拝観していた観音様の細部が頭に刻み込まれていく。完成後は観音堂で奉納した。  仏像初心者としては、阿弥陀様と観音様の違いに気づけたのも大きな進歩だろう。

まず、墨をすることから始める。水は極少量でOK。細かい線を描くときは、用意されている筆ペンを使うのもよし

願意を書いた後、下絵の観世音菩薩をなぞる。所要時間は1~2時間だが終わらなければ後日郵送等で奉納しても。なお写真の墨はやや薄め。本来は濃墨のほうがよい

描き終えた写仏用紙は志を添えて、会場仏前の「三方」に、または観音堂にご奉納。写経清浄会で清められた後、立派な仏様として寺院に末永く納められる。希望者は毎年5月と11月に行われる写経清浄会に参加可能

◆やってみたい人は 写仏ができる寺院は数あれど、鎌倉の長谷寺のように毎日受け付けている寺院は数少ない。鎌倉長谷寺では観音菩薩様を描くが、密教系の寺院では生まれた干支によって違う仏像を描くところも。写仏の難易度は、小学生低学年でも描ける入門用を用意する寺院もあれば、描き終えるまで1~2時間は要する本格派までそれぞれ。事前確認を。 ※各修行は宗派・寺院によって手法が異なります。体験希望者は事前に確認のうえ、参加を
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