コロナショックでYouTubeデビューした僧侶。お坊さんの収入も明かす
全国で緊急事態宣言がようやく解除された。“アフターコロナ”では、我々の生活はどう変化していくのだろうか……。
新型コロナウイルスの影響は仏教界にも及んでいる。「リモート葬式」「オンライン法要」といった葬儀、法要の新しい形が取り上げられる一方、オンライン化の波に乗れず、苦境に立たされている寺院は数多く存在している。
そんな中、広島県にある浄土真宗派寺院 崇興寺の住職・枝廣慶樹さんは、新型コロナをきっかけにYouTuberとしての活動を開始した。
「うちのお寺で毎月やってる定例行事は全て休止中。お寺の総代会・役員会もできません」
枝廣さんが住職を務める崇興寺では、法話会、ヨガ、お茶教室、経典勉強会、小学生対象の土曜学校など幅広い定例行事をおこなっていた。しかし、それらは現状再開未定だ。
「仏事は激減しました。法事は8割方キャンセルや延期になり、月命日のお参りが以前は50件ほどありましたが、今は10件ほどに。葬式は変わらずありますが、密葬といえる家族葬で、僧侶が複数集まる葬儀は無くなっています」
葬式がある分、寺院としての収入面は危機的とまではいかないという。しかし、寺院の住職ではなく、いわゆる「雇われ」である僧侶たちの収入は激減している。
「法話会で話をすることをメインにしている布教使さん。お葬式で法要のお手伝いをする役僧さん。大きな寺院に雇われて出来高制でやっている衆徒さん。特定寺院ではなく、いくつかの寺院の仕事を手伝っているフリーランスのお坊さん。こういった方々の悲鳴は聞こえてきますね」
実際、筆者が「雇われ僧侶」の方に聞き取り調査をおこなったところ、「収入が無くなった」「給料が2~3割減った」などの回答があった。感染者が多く出た地域の寺院や、法要の収入で成り立っている寺院ほどダメージは大きく苦しい状況だ。
枝廣さんは、新型コロナを機に今後急速に仏事儀礼全体が委縮、縮小するのではと危惧している。
「仏事法要は基本的に三密です。やらないことが可能であるがゆえに、やらなくなる法要も増えてくるかもしれません。葬儀は一気にコンパクト化が進み、そもそもしなくなるのではと思っています」
緊急事態宣言発令以後、各地の寺院が集団での参拝を受け入れ停止した。個人での参拝は可能、信者による読経や念仏は禁止といった措置を取る寺院も多い。
「仏事は基本的に高齢者向けであることが多く、リモート法事などは浸透しにくいです。月参りのようなルーティンは、一度休むと再開しないことが多いですね」
仏教界は時代の変化に対応できていない。そういった批判は近年、仏教界の内外問わず高まっている。問題の根底にあるのは、高齢者がトップを担う業界構造や、変化を良しとしない美徳精神だ。
旧態依然とした業界体質の中で、「それでも何か、お坊さんとして社会の役に立ちたい」と、枝廣さんはYouTubeを始めた。
「YouTubeはもはや情報インフラであって、そこに伝統教団も真摯に取り組まなければならない時代になりました」(枝廣慶樹さん、以下同)
そう語る枝廣さんは、仏教界の古い体質を見直し、若い世代に向けて仏教を伝えていく必要があると訴える。
仏事は激減…一部のお坊さんの収入は危機的状況
1
2
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ