絶好調・田中将大の意外な“7人の敵”!?【後編】

 鳴り物入りでヤンキースに入団し期待を裏切らない快進撃で評価を上げる田中将大投手だが、デビューから約1カ月が経ち、意外な「敵」の存在が浮き彫りになってきた。取材現場で見たマー君の意外な敵、後編は4~7番目の敵を紹介しよう。 ⇒【前編】「1.嫉妬する?選手たち~3.レッドソックスファン」
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◆4.メッツファン
田中将大投手

MLB日本語公式サイトより

 ヤンキースのライバル球団といえば、同じニューヨークに本拠地を置くメッツもそうだ。ヤンキースがア・リーグなのに対しメッツはナ・リーグと違うが、97年に両リーグ交流戦が行われるようになってからは「サブウエイ・シリーズ」と呼ばれる名物対戦カードとなり、ニューヨークでは大変な盛り上がりとなる。  そのライバルであるメッツのファンは田中をどう見ているか。  レッドソックスとは対照的で「ボコボコに打たれろ」と思っているようだ。  田中がヤンキースタジアムでホームデビューを果たした4月9日のオリオールズ戦には、メッツファンの姿もあった。メッツの本拠地シティフィールドでは昨年、オールスターが行われたのだが、そのときの記念メッツユニフォームを誇らしげに着込んでいたので、熱狂的なメッツファンであることは容易に察しがついた。  その熱狂的メッツおじさんが、田中が2回に3ラン本塁打を打たれたとき、両手を天に突き上げ「Oh, Tanaka bad !」と言いながら大喜び。メッツファンにとっては、ヤンキースの話題の新星が失敗するのが無上の喜びらしい。  今季のサブウエイシリーズは5月12~15日に行われるが、そのときに田中が登板することになれば、メッツファンも盛り上がることだろう。 ◆5.ヤンキースタジアム  ヤンキースファンは観戦時の盛り上げ方をよく知っており、活躍すれば大いに盛り上げるが、その代わりダメなら容赦なくブーイングを浴びせるというのはよくいわれること。だがそれも、ヤンキースでプレーする選手にとっては醍醐味のひとつもいえる。  それよりも最近厄介なのは、ヤンキースタジアムを訪れるファンのドライで合理主義的なところだろう。春先のニューヨークは寒いためもともと客足が鈍いのだが、新球場になってからチケットの値段が上がったこともあり人気カード以外ではスタンドがガラガラという日が多くなった。好カードの試合には来るがそうでもないカードのときは観に来ないという行動パターンがはっきりしてきたのだ。  田中のホームデビューはオリオールズ戦だったが、人気絶大のカードであるレッドソックスとの3連戦が始まる前日だったため客入りが悪かった。ホーム2度目の登板は雨で順延となり、田中は翌日のダブルヘッダー第1試合で登板したが、平日の昼間とあってやはり客入りはひどかった。田中は、超満員のヤンキースタジアムという魅力的な舞台になかなか立てていないのだ。 ◆6.米国メディア  田中投手が期待通りの活躍をしていることもあり、米国メディアは今のところほぼ賞賛一色といっていい。ボストンの地元紙でさえ、田中が入団会見をする際にチャーター機で渡米したことに文句をつけたものの、田中がボストンのフェンウエイパークで登板し好投したときは「タナカは本物だ」と持ち上げた。  ただし米国人は「空気を読む」ということを知らないので、日本の感覚ならとても聞けないようなことも米国メディアはずけずけと聞いてくる。またニューヨーク・ポストなどのタブロイド紙は、田中がホームで登板する日に観戦に訪れたまい夫人の様々な表情や様子を激写して掲載し、さながらパパラッチ状態。米国メディアもそういうことをするものなのだと、認識を新たにしたのではないだろうか。 ◆7.球団の顔 デレク・ジーター  ヤンキースタジアムの正面入り口そばにある大きなメイン売店には、田中グッズばかりを集めて販売する「田中コーナー」がある。まだデビューしたばかりだというのに田中のグッズは実に種類豊富にそろえられており、それはもう驚くほどだ。ざっと紹介すると、ユニフォームやTシャツはもちろんのこと、キーホルダー、リストバンド、マグネット、シール、背番号入りボール、バックパック、タオル、テディベア、ピンバッジ、首振り人形、漢字名前入り帽子など。これほど多くのグッズが売り出されているのは、今季限りでの引退を発表したスーパースターのジーターくらい。今季はこの2人のグッズ販売競争も繰り広げられているというわけだ。  今のところ絶好調の田中選手。これから立ちふさがるであろう7人の”敵”を、どう克服していくか。活躍を祈りたい。 <取材・文/水次祥子>
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