「安倍政権は同じ過ちを繰り返す」植草一秀氏

安倍晋三政権は4月からの消費税増税を断行した。日経新聞などによる「増税の影響は軽微」といったキャンペーンが展開されてきたわけだが、消費者の受け止め方はシビアそのもの。日本経済への影響は本当に「軽微」なのだろうか。 ◆消費税率8%がついに始動!失われた20年を経て消費者行動が再び凍りつく【後編】(政治経済学者 植草一秀氏) ⇒【前編】はコチラ  他方、安倍政権はインフレ誘導政策を採用しており、2月の消費者物価上昇率は前年比+1.5%を記録。4月からは、さらに消費税増税分の3%が上乗せになる。  所得が減っているのに、消費税を含めて物価が5%近くも上がるのだからたまったものではない。  そうでなくても不況が長引き、正規雇用が削減され、多数の若者がワーキングプアの境遇に追い込まれているのだ。消費税増税で深刻な影響が広がらないわけがない。  消費動向調査での消費者態度指数も2月に30台に急落。消費税増税後1週間の百貨店売り上げは前年比3割近くも減少した。  米国も欧州も株価は史上最高値近辺で推移中だが、日本だけは年初来14%の株価急落に見舞われた。株価下落は、それ自体が景気悪化要因になるから警戒を要する。  企業利益の水準から判断すると日本の株価は大幅に割安な水準にあり、株価が際限なく暴落することは考えにくい。だが、経済が下り坂にあるときに株価が上昇する可能性は低い。安倍政権は過去の緊縮財政による失敗の教訓を生かし景気回復維持を優先すべきだったが、同じ過ちを繰り返している。 【今週の数字】 3月の街角景気指数(先行き判断DI) 34.7 街角の景気実感を迅速に知るために作られた街角景気指数。現状判断と先行き判断の2つあるが、3月の先行き判断DIは大震災のあった’11年3月以来の低水準となった
消費税率8%

街角景気指数(先行き判断DI)が安倍政権発足とともに、順調に推移していたのだが、今年に入ってから急落。政権発足時よりも指数は下がってしまった

【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある
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