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井伊直虎って女性なのか!? 来年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」先取り人物事典

井伊直虎

NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式HPより

 2017年大河ドラマの主人公は「井伊直虎」である。戦国ファンや同時代のゲーム好きには割とよく知られた名前だが、その一方で主役を演じるのが柴咲コウさんだと聞いて驚かれた方も少なく無いだろう。  直虎って女性なのか!?  答えは、イエス。彼女は幼名を「おとわ」、出家して「次郎法師」と言い、最終的には地元・井伊谷(いいのや)の女地頭になって「井伊直虎」を称する。  一体、直虎という「おんな城主」はどんな人物だったのか? 幼少期の「おとわ」時代から解説していこう。 ※直虎が男性だったという説が一部報じられていますが、本稿ではこれまで検証されてきた女性説の資料をもとに解説していきます

虎の目を持つ一族と呼ばれた井伊家の人々

 彼女は一体、ドコでいつ生まれたのか?  井伊直虎に限らず、戦国時代の女性は、名前も年齢も分かっていないことが多い。  徳川家康の正室・築山御前ですらそうなのだから、地方の小領主に過ぎなかった井伊家の女性など、ある意味、不明で当然だ。が、それでは物語が何も進まないから、ある程度は演出を伴って物語は進んでいくのであろう。  ドラマ『おんな城主 直虎』で、直虎の幼少期は「おとわ」(柴咲コウさん)という。  おとわの生年は、許婚者の亀之丞(かめのじょう・三浦春馬さん)が1535年生まれであるため、1535±5年と推測。亀之丞にとって彼女は、年下の可愛い女の子であったとも、年上の男勝りの女の子であったとも言われている。  作家は、数ある説の中から、ストーリーに都合のいい説を選びがちだ。それがメディアを通じて広まり、いつしか「定説」となり、気がつけば「真説」として定着してしまう。さて、来年の大河ではどう描かれるか。  柴咲コウさんの気丈なイメージ、かつ三浦春馬さんの優しげな風貌からして、直虎が年上となる気がしないでもない。  いずれにせよ井伊一族には、不思議な伝承がある。  虎の目を持つ一族――というのがソレ。  「虎の目」とは、「野性的な目」と解されるが、私は「茶色の目」と解している(茶色の目の持ち主といえば、時代劇の俳優なら静岡県出身の里見浩太朗さん、アイドルなら大島優子さんや橋本環奈さん辺りだろうか)。  相手に安心感を与えて信頼される目。人を惹きつける目。魅力的な目ということであろう。  おとわの父親は、井伊22代宗主直盛(なおもり・杉本哲太さん)である。直盛の幼名は、江戸幕府の公式文書『寛政重修諸家譜』に「虎松」とある。「虎丸」とする説もあるが、いずれにせよ、虎の目を持つ人間であったのであろう。  一方、おとわの母は、ドラマでは新野千賀(ちか・財前直見さん)となっている。新野氏は、今川氏の庶子家で、御前崎市新野の地頭(この当時の「地頭」は「領主」の意)であった。井伊家と新野氏・娘との結婚は、今川氏との結びつきを深めるための政略結婚だったとされている。  こうした両親のもと、おとわが生まれた場所は井伊谷(いいのや・静岡県浜松市北区引佐町井伊谷)の井伊氏居館と伝えられている。  が、残念ながら直盛夫妻が授かった子は「おとわ」のみで、井伊家の宗主であるにも関わらず息子に恵まれなかった。  そこで井伊20代宗主直平(なおひら・おとわの曽祖父、前田吟さん)が、「男子が生まれなかった場合は、わしの息子の井伊直満(なおみつ・宇梶剛士さん)の子・亀之丞と、おとわを結婚させる。亀之丞に井伊家を継がせるのだ」と決めた。  おとわが、まだ2~3歳の時だったという。
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亀之丞は信州へと亡命 出家して「次郎法師」を名乗る
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